デビュー前は流されるタイプ…福士蒼汰を変えた「役者という責任」

[ 2015年7月14日 12:38 ]

優しい笑顔をみせる福士蒼太

 引っ込み思案だった少年はデビューをきっかけに、ストイックに演技を極めようとする精かんな青年へと生まれ変わる。20日スタートのフジテレビ「恋仲」(月曜後9・00)で月9主演の大役を射止めた俳優の福士蒼汰(22)。テレビドラマの世界で新たな挑戦の幕を開ける。

 高い向上心には感心する。2年以上続ける「ジークンドー」「カリ」という格闘技もそうだ。13年の映画「図書館戦争」で共演したV6の岡田准一(34)の影響で始めた。目的は肉体的、精神的に強くなることだが「例えばアクションの仕事が来て、それから準備しても、いい仕事ができるはずもないですから」と話す。

 目標に対しての高いモチベーションは昔からなのだろうか。

 「いえいえ、むしろキツいことから逃げられるのなら逃げたかったです」と、笑いながら意外な過去の自分を明かす。「役者という責任のある仕事をしていなかったら、格闘技も英語も続けていないかもしれないですね」とも付け加えた。

 今の福士からはとても想像できないが、デビューする17歳までは「人に流されるタイプだった」という。「良く言えば平和主義者。自分が引くことで周囲が丸く収まるならそれでいい、という感じでした」

 「恋仲」の台本を読みながら主人公の三浦葵をイメージしていると、少し懐かしくなった。好きな女性に思いを伝えられず、仕事も何となくやり過ごし、優柔不断で目標もない男。

 「これ、なんか昔の自分だな、昔を思い出しながら演じてみてもいいかなと感じましたね」

 それは自分をさらけ出すことになるかもしれないが、抵抗はないのだろうか。

 「それはないですね。今の自分なら気恥ずかしさもあるけど、昔の自分は今と違うから」

 きっぱりとした口調だった。まだ5年にも満たないかもしれないが、濃密な俳優生活を送ってきた自負がうかがえた。

 その未来予想図はどんなものなのだろう?

 「んー、とても一言では言えないです」と、無限の未来がある22歳の青年を困らせてしまったが、未来を描くキャンパスの一つは教えてくれた。

 「海外の作品には出てみたいですね。英語はそのために学んでいる部分もありますから」

 昨年のローマ国際映画祭で、主演ホラー映画「神さまの言うとおり」がコンペ出品された。その際、英語とイタリア語でのスピーチを披露し、客席から感嘆の声が上がったという。

 「緊張しましたねぇ。まぁ、しゃべれまっせ!とアピールにはなったかな」。爽やかな笑顔にサラリとのぞいた野心。引っ込み思案だった17歳の少年の面影は、もうなかった。

 ◆福士 蒼汰(ふくし・そうた)1993年(平5)5月30日、東京都生まれの22歳。2011年1月にドラマ「美咲ナンバーワン!!」でデビュー。9月には「仮面ライダーフォーゼ」で初主演を務める。NHK朝ドラ「あまちゃん」、日本テレビ「きょうは会社休みます。」、映画「ストロボ・エッジ」など話題作に多数出演。

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