海荷でよみがえる!07年楊志館「伝説の夏」裏側の悲劇

[ 2012年1月31日 06:00 ]

NHK「あっこと僕らが生きた夏」で主演する川島海荷

 07年夏の全国高校野球選手権大会でベスト8に入った大分県代表・楊志館(ようしかん)高校の野球部を病床で応援し、17歳で亡くなった女子マネジャーがドラマ化される。女優の川島海荷(17)主演のNHK土曜ドラマスペシャル「あっこと僕らが生きた夏」(後9・00)で、4月14、21日の2回にわたり放送。川島は「前向きに頑張ることの素晴らしさを伝えたい」と力が入っている。

 ドラマは元読売新聞記者の有村千裕氏の同名ノンフィクションが原作の実話だ。

 佐賀北高が劇的な優勝を遂げた07年夏の甲子園。楊志館は大分県大会をノーシードから勝ち上がり、練習試合を含めて19連勝で、初出場ながら準々決勝に進出。大分県勢では6年ぶりの8強入りで「伝説の夏」と盛り上がった。ドラマはその裏側で起きていた悲劇にスポットを当てる。

 川島が演じるのは高校2年の野球部マネジャーだった大崎耀子さん。大崎さんは07年6月、首に痛みを感じて病院で検査を受けたところ「上咽頭がん」と診断された。野球部員が甲子園を目指して練習する中、大崎さんは入院し、グラウンドに戻る日を夢みて抗がん剤治療を受けた。県大会で勝ち上がるごとに病室にはウイニングボールが届けられた。そして、夢の甲子園でベスト8。しかし、その1年2カ月後、18回目の誕生日を迎えることなく大崎さんは他界。死後、見つかった日記には家族や仲間への思いがつづられていた。

 土曜ドラマ枠は山田太一シリーズなどの社会派ドラマ、平岩弓枝シリーズなど重厚なホームドラマの名作を数多く生んできた。演技に定評のある川島は同ドラマ枠が復活した06年以降では最年少の主演で、自身も初のゴールデンタイムの主演。岡本幸江プロデューサーは「負や悲しみの感情も非常に丁寧に捉えているので揺れる思いを繊細に演じてくれると思います」と期待している。

 撮影は31日から。川島は「台本を読んで、あっこちゃんは負けず嫌いで、挑戦心があって、自分と似ているなあと運命を感じました。一日一日を一生懸命に生き、最後まで希望を捨てない、あきらめない気持ちを私なりに表現したい」と張り切っている。

 楊志館高野球部の宮地弘明監督は「自分自身も含め、あの子に関わった多くの人の人生観が変わりました。テレビを通してその力を感じてもらえれば。川島さんが演じると聞いてピッタリだと思いました」と完成を楽しみにしている。

 ▽NHK土曜ドラマ 総合テレビで1975年10月から98年3月まで、06年1月から11年5月まで断続的に放送され、11年10月から土曜ドラマスペシャルとなった。人気作家のドラマ化が多く、松本清張シリーズ「遠い接近」(75年)や故鶴田浩二さん主演で山田太一脚本の「男たちの旅路」シリーズは76年2月から82年2月まで放送。さらに、向田邦子脚本「阿修羅のごとく」、山崎豊子原作「大地の子」、近年では「ハゲタカ」「外事警察」が話題になった。

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