勘太郎 来年2月「六代目勘九郎」襲名

[ 2011年7月13日 06:00 ]

篠山紀信氏が撮影したスカイツリーを背にした「六代目中村勘九郎」襲名記念写真

 歌舞伎俳優・中村勘太郎(29)の「六代目中村勘九郎襲名」が来年2月に決まり12日、東京都港区のホテルオークラで発表会見が行われた。父・中村勘三郎(56)が05年まで46年間守った名跡。12年開業する東京スカイツリーを背に正座する襲名記念写真を公開し「何かを発信していける役者に」と、世界一高い電波塔と同じくビッグな六代目になることを誓った。

 「結婚したときより、息子が生まれたときより、この上なく緊張してます」

 中村屋の定紋、角切り銀杏(いちょう)の羽織はかまで登場した勘太郎は、まず大きく深呼吸した。会場は04年11月、父親が十八代目勘三郎の襲名会見を行った場所。「父のような役者に、父のような男になりたいといつも思ってきました。うれしさもありますが、恐れもあります」と正直な気持ちを明かした。

 この日、壇上にも、会見場にも先代の姿はなかった。突発性難聴で休養中だけに大事をとったようで、勘太郎は「朝、“頑張ってこい”と言うように、無言でがっちりと握手して送り出してくれました」と感激の様子で話した。妻で女優の前田愛(27)は、2月に生まれた長男・七緒八(なおや)くんの予防接種のため「先に家を出ちゃったんですよね」と苦笑。一世一代の襲名会見の席で、この時ばかりは緊張の表情が緩んだ。

 一方、偉大な名跡を継ぐにあたって“サプライズ”を用意。通常、襲名に際しては金屏風(びょうぶ)の前で正座する写真を撮影するが、このほか、今年1月に建設中の東京スカイツリーを背に、台東区の寺院「待乳山聖天」にある建物屋上に裃(かみしも)姿で座った1カットを撮影。自身のアイデアで、「新しい勘九郎をつくり上げていく意味を込め、あえて建設中に撮った」(関係者)。ツリー開業年に襲名することから「仲間意識も持っている」という。

 病気が快方に向かっている勘三郎は、9月から本格的に舞台を再開。勘九郎時代から、その不屈の精神を目の当たりにしてきた勘太郎。父が会見に同席できず残念そうにしながらも、「僕も熱い“中村屋スピリッツ”でお客さまにいい芝居を届けたい」と誓った。

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