手塚さんの 昭和20年代のノート10冊初出版へ

[ 2010年11月2日 03:22 ]

 漫画家手塚治虫さん(1928~89年)が昭和20年代に漫画の下描きやせりふの構成などを記したノートを復刻した本が、初めて小学館クリエイティブ(東京)から出版されることが1日、分かった。「メトロポリス」「ジャングル大帝」などの構想の跡がうかがえ、手塚さんの創作の原点を知る上で貴重な資料となりそうだ。

 手塚プロダクションによると、94年に都内の自宅で、48~59年ごろに使われた大学ノートなど計75冊を発見。これまで一部は公開されたことがあるが、詳しい内容が明らかになるのは初めて。
 初期の作品「来るべき世界」は、きれいな下描きがノートに残っており、あまり丁寧に下描きするタイプではなかった手塚さんとしては非常に珍しい。「ジャングル大帝」のせりふは脚本のように書かれていて、映画や演劇などさまざまな芸術に親しんだ手塚さんらしさが表れている。
 手塚作品に詳しい竹内オサム同志社大教授(メディア文化)は「いろいろな芸術の要素を漫画に取り入れようとしていたのが分かる。当時の手塚さんの脳内をのぞくようで、極めて興味深い」と指摘している。
 小学館クリエイティブは初期の創作ノート10冊を、複製原画や、16歳のときに描いた「幽霊男」「恐怖菌」「勝利の日まで」の3作と併せ「手塚治虫の創作ノートと初期作品集」として12月に刊行する。

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2010年11月2日のニュース