病床のつか氏に届け!メイサ舞台3日初日

[ 2010年2月3日 06:00 ]

「飛龍伝2010ラストプリンセス」公開稽古で熱演する黒木メイサ

 肺がんを公表した劇作家のつかこうへい氏(61)が原作・演出を手掛ける舞台「飛龍伝2010 ラストプリンセス」が3日から東京・新橋演舞場で上演される。つか氏が入院中のため不在のまま、主演の黒木メイサ(21)らが2日、公開稽古に臨んだ。

 黒木は、つかこうへい劇団の舞台「熱海殺人事件 平壌から来た女刑事」(04年2月)への主演がデビュー作。つか氏の下で修業を積んで女優業をスタートさせており、6年ぶりのタッグに特別の思いを抱いている。稽古用の黒いジャージー姿で「やるしかない。やって(恩を)返すしかない」と、自身に言い聞かせるように語った。

 つか氏は抗がん剤投与などをしながら治療を続けている。稽古の様子はビデオに収録して病院に運んでもらい、スタッフに指示を出している。出演者には直接電話で連絡を取っており、黒木にはこの日の稽古前にも「お客さんをタダで帰すな」とゲキ。病床からの師の言葉を胸にヒロインも「何かを与えて、喜んでいただけるようにやっていきたい」と舞台の成功を誓った。

 つか氏には6年前からよく、「(故郷の)沖縄にいた方が幸せなんじゃないか」と言われてきたという。黒木は「私が反発して“やってやろう!”と思うのを分かっていておっしゃっているんだと思う」としみじみ話した。

 全共闘委員長を演じる黒木とは、敵と味方の関係ながら深く愛し合う機動隊員を演じる徳重聡(31)は「僕のセリフを変えるかも…と電話で言っていた。元気じゃんと思った」と笑わせた後、「(つか氏が不在の)悔しさを全員で背負ってやっていきたい」と語った。

 ≪つか氏「心配していない」≫つか氏は書面でコメント。自身の病状には一切触れておらず「楽日あたりに徳重君の嘘(うそ)偽りのない誠実な山崎一平が出来あがればと、気楽に待とうとしております」。また、「黒木メイサはなんにも心配しておりません。この前(黒木が)風邪を引いていた時、明るい沖縄の浜辺で楽しく子供達に囲まれて遊んでいるメイサの方が幸せだったのかと、寂しくなりました」などと独特の言い回しで初日を迎える心境を表現している。

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2010年2月3日のニュース