イーストウッド俳優引退宣言、監督専念へ

[ 2009年3月30日 06:00 ]

ロサンゼルスで本紙の単独インタビューに応じたクリント・イーストウッド

 米俳優のクリント・イーストウッド(78)がこのほど、米ロサンゼルスでスポニチ本紙の単独インタビューに応じ「もう積極的に役は探さない」と、実質的な俳優引退宣言を行った。「今後は監督業に専念したい」と話し、4月25日に日本で公開される監督・主演作「グラン・トリノ」が最後の出演作品になる可能性が出てきた。同作は全米でも大ヒット。日本でも“大スターの引退作”として注目を集めそうだ。

 1959年に米CBSで放送がスタートしたテレビ西部劇「ローハイド」でスターになってから50年。イーストウッドの口から“引退宣言”が飛び出した。
 「もう積極的に自分が演じる役を探すことはしない。いまの映画の役は、みんな若い役者向けに書かれているから」。1メートル88の巨体を椅子に沈めて、穏やかな口調で話した。映画に出演するのは、04年に米アカデミー賞の主演男優賞候補になった「ミリオンダラー・ベイビー」以来4年ぶり。「監督だけをやっていこうと、ここ何年も思ってきた。でもこの“グラン・トリノ”の頑固な元軍人役にはひかれたんだ」と笑った。
 アジアの少数民族の移民の青年との交流を通し、心を開いていく朝鮮戦争経験者役。「“ジェネレーション・ギャップ”に興味がある。僕たちの世代が若い人とどう付き合っていくべきか、この作品を通して考えてもらえればうれしい」と話した。惜しくもアカデミー賞の候補にはならなかったが、批評家からは「イーストウッドの新境地」と、その演技は高く評価された。ただ「人と賞を争うのは、もういいよ。席でじっと発表を待っているのもいやだしね」と、演技での賞レースから撤退の意向も表明した。
 「ダーティハリー」などの型破りなアクションで世界を魅了してきたイーストウッドだが、90年代には入ってからは監督としての手腕を発揮。「許されざる者」「ミリオンダラー・ベイビー」で、米アカデミー賞作品賞、監督賞の同時受賞を2度も達成している。「今後は監督業に専念するよ」とあらためて宣言。新作は南アフリカのネルソン・マンデラ氏を題材にしたもの。その準備のため今作での来日は難しそうだが「“ローハイド”の時代から支えてくれている日本のファンには感謝している。少し先になるかもしれないけど必ず行く。保証します」と、再来日を約束してくれた。

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2009年3月30日のニュース