広島・新井監督 若手が一進一退の現状「予定通り」「最初からそんなにうまくはいかないって」

[ 2024年5月17日 05:05 ]

大瀬良(手前)と笑顔で話す新井監督(撮影・奥 調)
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 広島・新井貴浩監督(47)が16日、積極登用する若手が一進一退を繰り返す現状を「予定通り」と表現した。得点力不足でも、投手を中心とした守りの野球で勝率5割(15勝15敗4分け)につける序盤戦。2軍で再準備中の田村俊介外野手(20)らホープの足踏みは開幕前から覚悟しており、優勝争いがヤマ場を迎える夏場へ向けた成長を改めて期待した。

 松山でのヤクルト戦を1勝1敗で終えた一夜明け。チャーター船で選手らと広島に帰った新井監督は、マツダスタジアムで先発投手の練習を見守った。終了後、報道陣の囲み取材に応じ、今季既に8度の零敗を数える攻撃陣の現状について焦ることなく受け止めた。

 「野手は時間がかかる。経験を積むことで少しずつ成長し、(打線の)輪郭が見えてくれば。(その意味で)シーズン通してのプランは予定通りかな」

 ここまで34試合を消化し、15勝15敗4分けの勝率5割。首位・阪神から2・5ゲーム差の3位につける。投手中心の守りの野球が光る一方で、打線の得点力不足は深刻だ。それでも大局を捉える指揮官はブレない。「今年は若手の出番が増えると言ったよね?」と過去の発言を自ら持ち出し期待株の例を挙げて説明した。

 「田村にしろ、最初からそんなにうまくはいかないって。侍(ジャパン=3月、欧州代表戦)に選ばれたし、龍馬のFA(オリックス移籍)で“田村、田村”となったけど」

 ポスト西川と目される20歳。開幕DeNA戦で初先発を果たしながら打率1割台に低迷し、5月8日に出場選手登録を外れた。逆に開幕2軍で昇格した若手は6人。自身の若手時代を踏まえ、即結果が出ないことも覚悟しており、それが「予定通り」の意味だ。

 「一試合一試合が勉強。打った、打たない…を繰り返し、少しずつ成長していくから思い切ってやってくれたらいい。それが若い選手の特権。全て使う監督の責任なんだから」

 世代交代期にあるチーム。今季の一戦一瞬に勝負をかけながら、次代のレギュラーを発掘、育成するために、若手を積極登用する方針は不変だ。自分がユニホームを脱いでも、カープに何かを残さないといけない――。それは信念でもある。

 「力を付けたな…と感じる選手が出てきたら、試合に出るチャンスは増える。それが競争。自分でつかまないといけない。数カ月後に、そういう選手が出てきてくれたら」

 おぼろげでも、打線固定への輪郭が見え始めた時、期待に満ちた頂点への成長曲線がまた大きく膨らむ。(江尾 卓也)

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