【落合×鈴木啓示対談】センバツ初戦敗退で出たビッグマウス「甲子園は負けて大きくなるところや」

[ 2024年3月8日 17:10 ]

鈴木啓示氏(右)とオレ流チャンネル「博満の部屋」で対談した落合博満氏
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 現役時代に3冠王を3度獲得し、監督としては中日を4度のリーグ優勝に導いた落合博満氏(70)が8日、自身のYouTube「落合博満のオレ流チャンネル」を更新。大好評対談企画「博満の部屋」の第6回目として、歴代4位の通算317勝を挙げた元近鉄投手・鈴木啓示氏(76=本紙評論家)をゲストに招いて対談を行った。

 話題は鈴木氏が育英高校3年春にセンバツ出場した時に移った。「(前年秋に)兵庫県、近畿大会で優勝して、センバツに出たんや。その時に育英が優勝候補筆頭やったんや。それでNo.1投手、1億円の左腕って言われたんや。もてはやされたわけや。それで初戦(2回戦)が徳島商業やったんや。練習試合で行った時は勝ってきとんのや。高校生活で最初で最後、1本も打たれたことないホームランを全国中継の中で打たれて3対1で負けたんや」と当時を振り返った。

 当時、鈴木氏は神戸で下宿生活をしていたそうで、センバツ敗退後の2日間の休養日を利用し「負けて2日間休みやろって言われて、親父とお袋のところにいっぺん帰ろうと思って電車に乗って帰ったわけよ」と下宿先から実家に帰ったという。「ほんだら、親父が家に入れてくれへんねん。“お前、何しに帰ってきたんや。あれだけ騒がれとって初戦でホームランも打たれて3対1で負けてみんなの期待裏切って、くよくよして1人ふらっとよう帰ってきたな。家の敷居またぐな”って。家に入れてくれへんねん」と言われたという。

 さらに「田舎やから電車が10時過ぎになっとるからもうないねんや。神戸から来る電車が」と最終電車の時刻は過ぎていたという。そのため「親父が自分で車のキーを出して神戸の下宿まで送ってくれた。高速もないから3時間半ほどかかって。下宿についたのは夜中の1時や。下宿の奥さんなんかびっくりして“僕帰ったんちゃうの?”って。“いや、親父が入れてくれへんのや。こんなん親父ちゃうわ”って自分でそう思った時があったんや。お袋も車の中で泣いとったけどね。“けいちゃん、あんたお父さんこないして涙流して、あんたが憎くて言うてんちゃうで。あんたに何とか男になってもらいたい思ってな。頑張ってもらおうと思ってな。お父さん、涙流して言うてんのやから悪うとらんときよ”言うて。今、思ったらお袋がええカバーしよったな思ってな」と当時のやり取りを思い返した。

 また、高校生活最初で最後のホームランを打たれた際の取材ではビッグマウスが飛び出したという。「そこで生意気なことを言うてんねん。甲子園は負けて大きくなるところやって。えらい強がって言うたんやって。甲子園で優勝したピッチャーで200勝以上したピッチャーは平松(政次)だけや。岡山東商で優勝したんや。ワシと同期や。それ以降、斎藤佑樹とか荒木(大輔)とか騒がれて入ってきたんや。プロ入っても40勝や35勝とかね、200勝もいけへん。だから“甲子園は負けて大きくなるところや”ってそういうこと知らないで言うたんよ。高校時代に調子乗ったら成長せえへんでって。“よーし、見とれ”という気持ちが自分の今後の力になっていくんやって言うたらしいわ」とセンバツ初戦敗退がその後の原動力になったことを明かした。

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