広島・中村奨 背水のプロ7年目は外野で勝負「一軍にしがみつきたい」 2年ぶりの1軍Cでアピール

[ 2024年2月7日 07:00 ]

明るい表情で練習に励む広島・中村奨(撮影・平嶋 理子)
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 広島・中村奨成外野手(24)が宮崎・日南キャンプ第2クール初日の6日、2年ぶりに1軍キャンプに合流し、外野手としての再出発を期した。17年ドラフト1位で入団して高卒7年目を迎える今季は背番号が「22」から「96」、登録が捕手から外野手に変更。勝負の一年へ、自身が望みを託す打力で1軍に生き残り続ける悲壮な決意を示した。

 中村奨は昨季までとは異なる姿で1軍に呼ばれた。今季から背負う背番号96のユニホーム姿を日南のファンに初披露し、捕手ミットを一度も手にすることなく打撃や外野守備に奔走した。「野球をまだまだ続けたい。一年間1軍で戦うんだぞという気持ちで、とにかく1軍にしがみつきたい」。並々ならぬ覚悟も昨季までとは段違いだ。

 17年夏の甲子園で清原和博(PL学園)を超える1大会最多6本塁打を放った甲子園のスターも、気付けば高卒7年目を迎えた。昨季は出場18試合で打率・150(20打数3安打)、0本塁打に終わり、プロ6年間で通算2本塁打にとどまる。

 オフ期間に磨いた打力を見せようと、フリー打撃では新井監督らが見守る前で172スイングして柵越え4本を披露した。アーチ連発ではなくてもライナー性の鋭い打球を打ち続け、「去年の終盤から良い感覚の打撃が増えていた。久々の屋外での打撃練習だったが、よく打てたかなと思います」と胸を張った。

 昨季まで捕手事情は坂倉が正妻に定着し、会沢、磯村らも控えていた。中村奨は捕手登録だった昨季も外野出場が3試合に対し捕手での出場は一度もなかった。1軍での出場機会を最優先に考え、オフに外野手登録への変更を球団に直訴した。

 「この世界で生き残りたい思いが強かった。“凄く打撃は良い”とコーチからの言葉ももらっていたので、捕手への思いをグッと抑えて、腹を据えて今年は外野で勝負するという思いで来ました」

 1軍に同行する外野手は、育成出身の中村貴や昨季出場のなかった中村健、久保ら1軍戦力になり得るかの見極めに重きが置かれている。中村奨について新井監督は「いいスイングをしていたと思います。背番号も変わり、気持ちも入れ替わっていると思う。楽しみに見ていきたい」と期待を込めた。西川の移籍により、外野の定位置は1枠空いている。今後の野球人生を大きく左右するかもしれない、1軍生き残りをかけた日々が始まった。 (河合 洋介)

 <中村奨成のプロ入り後の歩み>
 ☆1年目(18年) 17年ドラフト1位で入団し、2軍春季キャンプでは1軍の観客数を超えるフィーバー。2軍戦では4本塁打と長打力発揮。

 ☆2年目(19年) 2月に肋骨を疲労骨折。実戦復帰した6月の2軍戦で頭部死球と故障に泣かされ、2軍出場39試合に終わった。

 ☆3年目(20年) 春季キャンプで初の1軍スタートも2月中旬に2軍合流。7月下旬に初の1軍昇格。プロ初出場だった7月26日のDeNA戦を含めて代打4打席で無安打。

 ☆4年目(21年) 4月16日の中日戦に「2番・左翼」でプロ初先発し、通算7打席目でプロ初安打の二塁打。出場は39試合。プロ初本塁打を含む2本塁打など才能の片鱗を見せた。

 ☆5年目(22年) 出場27試合で打率.193、0本塁打。シーズン終了後の契約交渉で球団から「真摯(しんし)に野球に取り組め」と伝えられ、日南秋季キャンプに呼ばれず広島で居残り練習。

 ☆6年目(23年) 4月下旬に左前距腓(きょひ)じん帯・踵腓(しょうひ)じん帯断裂の故障を経験。7月中旬に実戦復帰し、1軍では18試合で3安打のみ。

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