能見篤史氏 阪神の足を絡めた“想定外”の攻撃がピンチに強いはずのオリ・由伸の動揺誘った

[ 2023年10月29日 05:15 ]

SMBC日本シリーズ2023第1戦   阪神8ー0オリックス ( 2023年10月28日    京セラD )

大量失点したオリックス・山本(撮影・光山 貴大)
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 【能見篤史 視点】レベルが高いチャンピオン同士の試合ほど、一つのプレーが分岐点になる。5回先頭の佐藤輝が中前打で出塁してノイジーへの初球に二盗に成功し、チャンスを拡大した。足を絡ませ、山本にプレッシャーをかけた。

 初回1死一塁で三振併殺に終わった阪神の攻撃が決して無駄になっていなかった。動いてくる…とバッテリーに警戒心を強めさせた上で、その想定に入っていなかったと思われる佐藤輝の二盗で流れを奪った。しかも不動の打線の中、唯一動かせるDHで直球への強さを買って起用した渡辺諒で先制。理想的なパターンだった。

 佐藤輝の中前打も、渡辺諒の適時中前打も山本にとっては打ち取った当たり。詰まりながらもヒットにするのは打者の技術でもあるが、イメージ通りの結果にならない投手にとっては余計なことを考えなければいけない展開になる。

 ピンチには強いはずの山本も、その例にもれなかった。1点を許し、なお1死一、二塁から坂本のバント失敗の小飛球をそのまま捕球した。ワンバウンド処理で三塁に送球すれば併殺が取れる可能性があった。私ならチャレンジしていた。それができなかったことが大量点につながった。

 一方の村上は終始落ち着いていた。レギュラーシーズン同様の立ち上がり、そして制球力でアウトを重ねた。村上の投球に対するオリックス打者の反応は、続く先発陣、そして救援陣にとっても、いい参考になる。先勝したことに加え、阪神はしっかりと相手の情報も手にした。

 オリックスは守りで硬さも目立った。それでも第1戦とは試合の入り方も変えるはず。いかに、この敗戦から切り替えるか。シリーズの経験を生かすしかない。

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