球団初デビュー7連勝 オリ・東を覚醒させた魔法の一言 育成時代から見守った中嶋監督の「…」

[ 2023年9月20日 05:00 ]

パ・リーグ   オリックス3―2ロッテ ( 2023年9月19日    京セラD )

<オ・ロ>汗を飛ばし力投する東(撮影・長久保 豊)
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 オリックスが19日、今世紀初のリーグ3連覇へ王手をかけた。2位ロッテとの直接対決に3―2で勝利し、3連勝で優勝へのマジックナンバーは「2」。先発・東晃平投手(23)は7回5安打1失点で6勝目を挙げて、球団初となる初登板から無傷の7連勝を達成した。20日の同戦に勝利すれば、大入り満員となる本拠地で、3年連続15度目(前身の阪急の10度を含む)の優勝が決まる。

 育成入団から苦節6年、長すぎた我慢の時間が球団史を塗り替えた。「名前が載るのはうれしいですね」。東が昨季の初登板から7連勝。5年目の昨年7月に支配下登録を勝ち取った苦労人が、球団の連勝記録を作った。

 才能が花開いた未完の大器は、まだ成長を続けている。初回1死無走者で藤岡から見逃し三振を奪った内角直球は、自己最速を1キロ更新する155キロを計測。「こんなに球速が出るようになるとは…」。7イニング中4度も得点圏に走者を背負う我慢の投球だった。入団時は緩急でかわしていた右腕が、持ち前の制球力と磨いてきた速球で難局を乗り切れるまでにたくましくなった。

 「直球を意識してくれたら変化球を投げるのも楽になる。自信もついてきました」

 7月30日の再昇格以降、無傷の7戦6勝と人生が一変した。覚醒(かくせい)の裏には、1軍に合流した際に中嶋監督から伝えられた魔法の一言があった。「しっかり内角に投げ切れ」。背番号3桁だった頃は2軍監督として見守り、1軍監督として支配下に引き上げてくれた恩人が中嶋監督だ。「確かに2軍戦でも打たれるときは内角に投げ切れていないときだったな…」。そして内角に力強く腕を振れるようになった成長の証が、内角直球で計測した渾身(こんしん)の155キロだった。

 体重は高卒での入団時から20キロ増の90キロにまで増えた。本格的にウエートトレーニングに着手したのは昨年からだ。先輩の山岡だけでなく、3学年下の山下にも教えを請うた。「筋トレの成果や体重が増えたことで下半身の疲れが少なくなり、平均球速が落ちなくなったのかな」。3―1の7回2死三塁で154キロを計測。自己最多110球を投じても、球威は最後まで落ちなかった。

 パ・リーグでは今世紀初となる3連覇に王手をかけた。優勝決定日は21年が試合のない日で、昨年は敵地だった。既に観戦チケットが完売している20日の一戦に勝利すれば、96年以来27年ぶりとなる本拠地での胴上げとなる。普段は慎重に言葉を選ぶ中嶋監督も珍しく「ここまで来た。明日はしっかりと勝って決めたいと思います」と言い切った。大歓声の中、大阪で舞う条件は整った。(河合 洋介)

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