鈴木啓示氏 阪神・岡田監督の勝負勘が呼んだ劇勝 延長10回狙い通りの満塁策でピンチ脱出

[ 2023年8月23日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神4―3中日 ( 2023年8月22日    京セラD )

鈴木啓示氏
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 【鈴木啓示 視点】なかなかできる作戦ではない。延長10回2死一、二塁での守りだった。6番手で阪神の左腕・島本が登板する中、岡田監督は右打者・木下を3ボールから申告敬遠し、満塁策を取り、左打者・溝脇との勝負を選択。狙い通りに三ゴロに封じ、その裏のサヨナラにつなげた。

 一塁が空いていないのに、延長の中、あえて満塁策にする。常識とは少し違う采配だった。だが、今の阪神ではそれが的中する。チームの勢い、そして勝っているからこその余裕、加えて岡田監督独特の勝負勘が加味されての勝利だった。

 作戦がはまるという表現より、監督に迷いがないことが大きい。迷いがないから選手も自信を持って戦える。6回2死一、三塁で代打・加藤翔を抑えた桐敷、そして無失点継投を果たした石井、岩崎、加治屋、島本。7回に代走で起用され、森下の一打で同点のホームを踏んだ熊谷。いずれも起用に際して不安を持たないから、選手もプレーに集中できている。そう感じた。

 試合前に少し岡田監督と話をした。「正直言って、裏目に出たらどうしようという気持ちはありますよ。でも決断するのは監督やから」と言って、笑顔を見せていた。その決断を信じて戦えば勝てるということが、またしても証明された。(スポニチ本紙評論家)

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