甲子園も「おかやま」旋風!快投&快打の元背番号1 異色指揮官がよみがえらせた異色の練習法とは

[ 2023年8月18日 05:05 ]

第105回全国高校野球選手権記念大会第11日3回戦   おかやま山陽7-2日大三 ( 2023年8月17日    甲子園 )

<おかやま山陽・日大三>勝利に沸くおかやま山陽応援団にあいさつするナイン(撮影・大森 寛明)
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 3回戦4試合が行われ、おかやま山陽(岡山)が日大三(西東京)に7―2で快勝し、同校初の8強入りを決めた。初戦の日大山形から大垣日大、そして日大三と史上初の「日大」3連破で、ひらがな入り校名の学校では20年ぶりの準々決勝進出。今夏の目標を当初の「3勝」から「決勝進出」に上方修正し、いずれも「岡山」が頂点に立ったM―1グランプリ、高校男子駅伝、高校サッカーに続けとばかりに、高校野球でも「岡山旋風」を巻き起こす。

 「日大キラー」ぶりが止まらない。おかやま山陽が、初戦の日大山形、2戦目の大垣日大に続き、夏2度の全国制覇を誇る日大勢の“大ボス”日大三も撃破。当初の目標だった甲子園3勝を達成し、新目標の決勝進出へあと2勝とした。

 「後ろに三宅とか井川がいたんで、飛ばしていきました。(日大三の名前の重圧は)なかったです。やる前から名前負けすると、不利になるので」

 今大会初先発し、投げては5回0/3を4安打2失点、打っても2本の適時打を放った背番号10・西野彰人が胸を張った。初戦は井川駿、2戦目は三宅一誠が先発。前夜に告げられ「やっと自分の番が来た」と闘志満々で強力打線に立ち向かった。

 昨秋まで背番号1。その後、調子を落としたが、東京五輪でジンバブエ五輪代表監督を務めた異色の経歴を持つ堤尚彦監督が考案した「竹やぶブルペン」で復調した。グラウンドから距離を置き、静寂の中で捕球音だけが高々と響き渡る“秘密基地”で球速が回復。「音が響くので。錯覚なのかもしれないですけど」。よみがえった直球とスライダーを低めに集め、この日も見事に試合をつくった。

 打線は日大三の好投手・安田虎汰郎の直球を狙い撃ち。堤監督の「あのチェンジアップは打てない。とにかく直球をどんどんいこう」という指示に見事に応えた。13安打7得点の猛攻に、都立の千歳高出身の指揮官は「この子たちが凄いのは、日大三高さんの凄さをあまり分かっていないこと」と舌を巻いた。

 新チーム結成時の目標が甲子園3勝。堤監督は「1年間ずっと、“3勝しよう”でやってきた子たち」と話す。それを13日の大垣日大戦勝利後に「決勝進出」に上方修正した。「3勝と言っていると3つ目で負ける。優勝はちょっとおこがましいんで」。3勝を全て日大勢から挙げる奇縁には「本当にたまたまですけど。何か不思議ですね」と笑った。

 昨年末から高校サッカーや駅伝、お笑い界に至るまで、話題をさらった「岡山旋風」。この夏も「おかやま」が強烈な上昇気流に乗り、頂点を目指す。 (山添 晴治)

【岡山旋風アラカルト】
 ☆M―1グランプリ2022 昨年12月18日に開催された決勝戦で、岡山県津山市出身の漫才コンビ「ウエストランド」が、史上最多7261組がエントリーしたお笑い界最大の賞レースの頂点に立った。
 ☆第73回全国高校男子駅伝 昨年12月25日に京都市・たけびしスタジアム京都で開催され、倉敷が2時間1分10秒の大会新記録で4年ぶり3度目の優勝を果たした。
 ☆第101回全国高校サッカー選手権 今年1月9日、東京都・国立競技場で開催された決勝戦で、2大会連続5度目の出場だった岡山学芸館が東山(京都)を3―1で下して全国3883校の頂点に立ち、岡山勢として悲願の初優勝を飾った。
 ☆第41回全国都道府県対抗女子駅伝 今年1月15日、京都市・たけびしスタジアム京都で開催され、岡山のドルーリー朱瑛里(しぇり=鶴山中)が3区(3キロ)で区間新記録となる9分2秒をマークし、17人抜きの快走を演じた。

【データ】
 ◯…おかやま山陽が日大三に勝ち、同校初の8強入り。ひらがな入り校名の学校が夏の大会で8強入りするのは、88年、03年江の川(島根=現石見智翠館)以来2校目、3度目。
 ◯…岡山勢の8強入りは12年倉敷商以来11年ぶり。夏3勝は11年関西以来12年ぶり。
 ◯…岡山勢が夏の大会で東京勢に勝つのは00年1回戦で岡山理大付が東海大菅生(西東京)に勝利して以来23年ぶり。夏の通算対戦成績は岡山勢の2勝6敗となった。春夏通算では4勝9敗1分け。

【日大3連破データ】
 ◯…おかやま山陽が日大三に勝ち、1回戦日大山形、2回戦大垣日大、3回戦日大三と同一大会において、3試合連続で「日大」勢を撃破。夏の全国大会で3校以上「日大」勢が同時出場するのは4校出場の今大会で11度目だが、同一校が3連破したのは史上初。連続でなければ、18年金足農(秋田)、07年常葉学園菊川(静岡=現常葉大菊川)が同一大会で2度「日大」勢を下した前例がある。

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