西武ドラ1蛭間拓哉 天国の浦和学院恩師・三浦貴コーチに成長した姿を

[ 2023年8月2日 08:00 ]

7月30日楽天戦の8回、同点の2点適時打を放った蛭間(左)(撮影・光山 貴大)
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 天国に届け――。西武のドラフト1位・蛭間拓哉外野手(22)は恩師への感謝をバットに込めている。

 巨人、西武で投手や野手としてプレーした三浦貴さんが7月24日、がんのため45歳で亡くなった。母校である埼玉・浦和学院でコーチを務め、自身も高校3年間、指導を受けてプロへの扉を開いた。「三浦先生の分まで野球を頑張ろうと思っています」と空を見上げる。浦和学院の後輩たちは、悲しみを乗り越えて甲子園出場を決めた。思いは一つ。テレビで観戦し、勇気をもらった。「甲子園に出て、自分も頑張らないといけないと思った」。7月29日の通夜は、仙台遠征中だったために参加できなかったが、浦和学院の同級生で同僚の渡辺勇太朗には「俺たちも頑張ろうぜ」とラインを送り、自然とバットに力が入った。

 7月30日楽天戦、2―4の8回2死満塁。蛭間が意地を見せる。カウント0―2から2番手・渡辺翔のパームに食らいついて同点中前2点打。しびれた。試合はサヨナラ負けを喫したが、勝負強さを見せつけ、松井監督は「あそこで打ってくれて成長すると思うし、自信にもなってくれる」と絶賛するほどの集中力。ルーキーの目の色は変わっていた。

 「自分はレギュラーでも何でもない。打てなかったら2軍という瀬戸際にいると思う。ラストチャンスくらいの気持ちでやっています」

 プロ1年目。うまくいかないことは多い。レベルの高さを日々、肌で感じて成長につなげ続ける。チームの未来を担う背番号9は静かに闘志を燃やしていた。(記者コラム・福井 亮太)

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