ヤクルト・石川、22年連続勝利 プロ1年目からでは米田哲也に並ぶ日本タイ記録

[ 2023年5月11日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト5-0阪神 ( 2023年5月10日    甲子園 )

ヤクルト・石川
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 ヤクルト・石川雅規投手(43)が10日の阪神戦で5回1/3を4安打無失点に封じ、今季初勝利を飾った。歴代1位の23年連続勝利に次ぐ22年となり、入団1年目からでは米田哲也(近鉄)に並ぶ歴代1位タイ。43歳3カ月での白星は、自身が持つ球団記録を更新した。日米通算を除く現役最多の通算勝利は184となり、200勝まで残り16。1メートル67の小さな左腕は、まだまだ走り続ける。

 白髪は増えたが、少年のような笑顔は変わらない。1メートル67の偉大な左腕にとって、勝利の味はいつ何時も格別だ。石川が3戦目で今季初勝利を挙げ、プロ野球最長記録に並ぶ新人から22年連続勝利。爽やかな甲子園の夜風を全身に浴びた。

 「本当に一人でできる記録ではない。家族、携わってくれた皆さん、ファンの方に感謝したい」

 抜群の投球術は健在だった。160キロ全盛の時代にあり、この日の直球の最速は134キロ。丁寧に丁寧に低めを突き続けた。「球は遅いけど、いろんなボールを投げられるのが僕の投球。ストレートを両サイドに投げることができた」。スライダー、シンカー、カットボール、シュートと多彩な変化球を駆使。02年の入団時から貫くスタイルで、的をしぼらせない。5回1/3を4安打無失点で、2戦連続8度目の零封勝ちを演出した。秋田商時代から知る甲子園では通算13勝目。神宮以外の球場別では最多だ。

 現役最年長の43歳。「現役をさせていただいている以上、高いところを目指さないと」と向上心が尽きることはない。新球・ワンシームの習得に励んだのは今春キャンプ。この日は投げなかったが、「いろんなボールを練習して、いつか使える日が来る時のために準備しておくのが大事」と歩みを止めない姿は後輩たちの手本だ。

 生粋の負けず嫌い。悔しさも原動力だ。昨季のオリックスとの日本シリーズ第4戦では5回1失点で敗戦。球団初の2年連続日本一も逃した。もう、同じ思いは味わいたくない。今季のチーム初遠征で名古屋への移動日だった4月3日。中華料理店で投手会を開き、「頑張って行こう」と士気を高めあった。

 現役時代に4年間プレーを共にした高津監督も最敬礼だ。米田哲也に並ぶプロ野球記録と報道陣から知らされると、「じゃあ、米田さんと呼ぼう」と笑い、続けて「昔から見ている石川そのままの投球」とうなずいた。

 通算184勝目で6カードぶりの勝ち越しに貢献。大目標の200勝まであと16に迫った。「一勝一勝。もちろん大きな目標であるけれど、一勝一勝でしか到達できない。また次の1勝を獲れるように頑張るだけ」。見果てぬ夢の続きを、これからも追いかける。(青森 正宣)

 ≪来季も勝てば史上最長タイ≫43歳3カ月の石川(ヤ)が今季初勝利。プロ1年目の02年から22年連続勝利となった。入団1年目からの22年連続勝利は米田哲也(近鉄)に並ぶプロ野球最長記録で同一球団での達成は石川が初めて。また、新人からに限らない連続年数勝利は工藤公康(横浜)ら3人の23年に次ぎ、米田と並ぶ歴代4位タイとなった。なお、43歳3カ月での勝利は自身が昨季マークした42歳7カ月を更新する球団最年長勝利。43歳以上での白星は49歳0カ月の山本昌(中)を筆頭に7人目だ。大リーグでは通算324勝のノーラン・ライアンの68~93年までの26年連続勝利が最長。

 ◇石川 雅規(いしかわ・まさのり)1980年(昭55)1月22日生まれ、秋田県出身の43歳。秋田商では3年夏に甲子園に出場。初戦は浜田に逆転サヨナラ勝ちしたが、2回戦敗退。青学大時代に00年シドニー五輪出場。01年自由獲得枠でヤクルト入りし、02年に12勝を挙げ新人王。08年には最優秀防御率を獲得した。開幕投手9度は球団歴代2位タイで、開幕戦5勝は球団最多。1メートル67、73キロ。左投げ左打ち。

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