ソフトバンク甲斐 毎年何かがある合同自主トレ “フレーミング左手の法則”今年も絶品ネタ健在

[ 2023年2月1日 08:00 ]

捕球の練習を行う甲斐(撮影・中村 達也)
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 さすがは甲斐。きっちりとネタをくれた。ソフトバンク甲斐拓也捕手(30)が、22日に地元の大分市内で自主トレを公開した。マスク集団の活動団体名は背番号にちなんで「甲斐キャノン19(塾)」。ツカミからキャッチーだったが、今年のメインディッシュは“フレーミング左手の法則”だった。

 きわどいゾーンの投球をストライク判定に見せる捕球技術を「フレーミング」という。これをジョン・フレミングからではなく、アマチュアの専門家から再履修した。右投げ左捕りのプロ捕手は育成同期の相棒・千賀滉大のブルペン捕手経験もある野球系ユーチューバーの緑川大陸(ひろむ)氏を招いていた。

 同氏は大学野球を終えて草野球が主戦場。プロ未経験だが左手の技術は一級品だ。打撃マシンの球をミットで捕球し続ける練習では何の感嘆シャウトかは分からなかったが、緑川氏のビタ止め実演を見ながら「お~」と鷹の女房らは、野太い声を出し続けていた。

 練習後には「試合の勝ち負けは1球で決まることがある。それで投手を助けられるなら。捕手として堂々と戦える準備をしています」。3月のリーグ開幕、そしてWBCも控える甲斐は言っていたが、中学時代を思い出しながら、聞いていた。

 「もう見出しは“電・磁・力・甲斐”でいいやん」と考えていた。中学2年の理科「電流と磁界」の単元で習った「フレミング左手の法則」。イギリスの電気工学者が考案した磁界の向きと直角に交わる形で電流を流すと、その2つと直角に交わる向きに力が働くという、なつかしネタだ。捕手用ミット内で、どう左手を表現するか。野球好き読者の世代層と時代背景が合うかなど気になっていた。

 そう考えていると最終行程のフリー打撃では、甲斐の実兄で楊志館(大分)のエース右腕として甲子園8強投手となった大樹さんが、弟をめがけて人生で初めて打撃投手役を務めるネタが目の前で始まった。理科よりも、道徳を選択、兄弟の人間物語を本文にした。ただ、今、思い出すだけでも面白い。

 甲斐の合同自主トレは毎年、何かがある。感性が毎回、磨かれる。当初の五輪イヤーだった20年は沖縄県金武(キン)町の球場で徹底してメダルの色にこだわった“キントレ”だった。22年は打撃復調に向けた食事制限による大幅減量と、三振減に向けたライト打ちを徹底して披露。“糖類阻止で身体も打球もライトに”と、にやけながら当時は書いた。23年も甲斐発のネタは健在で、絶品。勉強させていただきました。(記者コラム・井上 満夫)

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2023年2月1日のニュース