岡田新監督は阪神の「最強救援陣」どう使う?必勝パターン・令和版「JFK」誕生は?

[ 2022年10月17日 07:00 ]

継投に革命を起こした(左から)藤川球児投手、ジェフ・ウィリアムス投手、久保田智之投手の「JFK」

 【連載・岡田の考え(2)】2度目の阪神監督就任会見で、岡田彰布は「個人個人がレベルアップすればチームは変わる。可能性のあるチーム。勝てるチームにしたい」と発言した。04年から08年の第1次監督時代、勝つために取り組んだのが「JFK」の必勝パターンの構築だった。

 リーグ優勝した05年は6回終了時点でリードしていれば、73勝4敗2分けと勝率・948の驚異的な数字を残した。阪神の監督も経験した野村克也が「甲子園では野球は6回で終わり。そんなルールになっている。JFKは野球をがらりと変えたよ」と継投に革命を起こしたと証言するほどだった。

 先発投手を中心に組み立てられた継投が、抑えとセットアッパーからの発想に切り替わり、プロ野球における投手分業制を加速させた。コロナ前、色とりどりのジェット風船が飛び交った甲子園のラッキーセブンの光景を見ながら、「勝つには相手をラッキーセブンにさせなければええんや」の発想が革命の原点だった。

 ラッキーセブンという言葉があるのは、根拠があるから。打順は3巡目。打者も目が慣れてくるし、先発には疲れが出てくる。打順が下位でも、相手が思い切って代打などを仕掛けるのが、このタイミング。ならばブルペンで最も力があり、三振が取れる投手を7回に持ってくる。白羽の矢を立てたのは、監督就任が決まった03年オフに戦力外リストに入っていた藤川球児だった。

 2軍監督時代に「先発では難しい。でも、短いイニングなら使える」と適性を見ていた岡田は、ヤクルト、広島から獲得打診があった藤川放出にストップをかけた。藤川、ジェフ・ウィリアムス、久保田智之と3人をそろえれば、終盤に大きく崩れる可能性は低い。それが岡田の法則だ。

 今季の阪神もブルペン防御率は2・39とリーグトップ。だが、開幕戦を継投失敗で落とし、悪夢の9連敗。救援陣でリーグワースト2位の14勝24敗と要所での取りこぼしもあった。「後ろで借金10。防御率はいいのに、負けがつくのはエラーがあるから。それは悪循環。今は勝ちパターン3人では無理。1、2点負けてるときの投手も大事になる」と岡田は会見で語った。主に今季は8回だった湯浅京己を今後はどう使って、新しい勝ちパターンをつくるのか。注目はそこに集まる。 =敬称略= (鈴木 光)

 ▽岡田監督と救援陣 ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之の頭文字を取った「JFK」が代表的。05年は藤川の80試合を筆頭に3人そろって60試合以上登板。07年は抑えから中継ぎに回った久保田がプロ野球記録の90試合に投げて55HPを挙げた。勝ちパターンを担った「JFK」以外にも桟原将司、江草仁貴、橋本健太郎らがブルペンを支えた。

続きを表示

2022年10月17日のニュース