西武・辻監督が勇退発表 稼頭央新監督が近日中にも誕生へ 元スター遊撃手に再建託す

[ 2022年10月10日 03:00 ]

<ソ・西>CSファーストステージで敗退しファンへあいさつする辻監督(右)ら西武ナイン(撮影・岡田 丈靖)
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 西武は9日、CSファーストステージ第2戦でソフトバンクに2―8で敗れて2連敗を喫し、敗退が決まった。試合後に記者会見を行い、就任6年目のシーズンを終えた辻発彦監督(63)の退任を発表した。首脳陣の若返りが目的であるとし、後任は松井稼頭央ヘッドコーチ(46)の昇格が確実となっている。

 奥村剛球団社長は「勇退」という言葉で退任を発表した。球団は首脳陣の若返りのため、今季成績にかかわらず新体制に移る意向だったと説明。続いて辻監督が報道陣の前に立ち、晴れやかな表情ながらも時折、目を潤ませた。

 「やっぱり野球は楽しい。そういう意味では、ちょっと寂しい気はします。2度優勝できたのはいい思い出」

 18、19年にリーグ2連覇を果たすなど、6年間で5度のAクラス入りを果たした。西武で広岡達朗監督、森祇晶監督、ヤクルトで野村克也監督の下でプレーし、中日ではコーチとして落合博満監督に学んだが「終わってみて“辻は辻”でしかなかった」とかみしめた。失敗を責めることはせず、選手に寄り添う人情派だった。

 「打ち勝つことの難しさを感じた」と6年間を振り返ったが、山川を4番、森を正捕手に育て、3年連続Bクラスだったチームを再建した功績が光る。就任時に入団した源田は1年目から正遊撃手に抜てきし、主将としてチームを引っ張る存在に成長させた。投手起用では黒星が続いても、四球で崩れても根気よく使い続け、高橋、今井、松本を主戦投手に育てた。感謝の意を伝えたという奥村社長は「後進に引き継ぐベストなタイミングと判断した」と説明した。

 今後について辻監督は「ワクワク、ドキドキすることを見つけないといけない。体だけはスリムに保っていたい」と笑った。今季は3位に滑り込んだがCSに2連敗して敗退。ポストシーズン10勝(CS6勝、日本シリーズ4勝)で日本一とあり「“(麦焼酎の)十勝無敗”を飲みましたけど、だめでした」とユーモラスに悔しさを表現した。

 後任は松井ヘッドコーチの昇格が確実で、近く発表される見込みだ。日米通算2705安打を放ち、18年に現役生活を終えた後は2軍で3年間指揮を執り、今季から辻政権下でヘッドコーチに就いた。奥村社長は辻監督に「後進の育成にも着手していただいた」と感謝した。

 辻監督は、現役時代には正二塁手として黄金期を築いた愛するチームに「常にOBとして常勝軍団をつくってほしい」と願いを込めた。球団の元スター遊撃手にバトンを託し、4年ぶりの覇権奪回を目指す新体制が始まる。(神田 佑)

 ◇辻 発彦(つじ・はつひこ)1958年(昭33)10月24日生まれ、佐賀県出身の63歳。佐賀東から日本通運を経て83年ドラフト2位で西武入団。96年からヤクルトでプレーし99年に現役を引退。93年に首位打者。二塁手として8度のゴールデングラブ賞に輝いた。ヤクルト、横浜(現DeNA)、中日コーチなどを経て17年から西武監督。06年WBCでは侍ジャパンの内野守備走塁コーチを務めた。右投げ右打ち。

 ◇松井 稼頭央(まつい・かずお)1975年(昭50)10月23日生まれ、大阪府出身の46歳。PL学園では2年春の甲子園に出場。93年ドラフト3位で西武入団。98年にMVP。盗塁王を3度、最多安打を2度受賞した。04年からメッツ、ロッキーズ、アストロズでプレー。11~17年に楽天、18年に西武に復帰し同年限りで現役引退。日米通算2705安打。19年から西武2軍監督を務め、今季から1軍ヘッドコーチ。右投げ両打ち。

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