「イップス」「故障」…駿河台大・風間球星が苦難に立ち向かった4年間 今後は独立リーグで活躍誓う

[ 2022年10月10日 22:45 ]

東京新大学秋季リーグ戦   駿河台大 5―14 共栄大 ( 2022年10月10日    北本総合公園 )

9日の共栄大戦で大学最終戦を終えた風間(撮影・柳内 遼平)
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 東京新大学リーグの駿河台大は9日、共栄大に5―14で敗れ、秋季リーグ戦の全日程を終了。今春にレギュラーを獲得した風間球星外野手(4年=甲府工)は「5番・右翼」で出場し、4打数2安打2打点。夏から取り組む新打法で逆方向への快打を連発した。

 5―14と大きくリードを許して迎えた7回。コールドゲームで最終回となる可能性が高いイニングの先頭で風間が右打席に立った。狭いスタンスからバットを立てるルーティン。モデルは近鉄、中日などで通算404本塁打を放った中村紀洋。外角高め直球に快音を響かせると、打球は右中間を破った。大学ラストゲーム。両手には確かな感覚が残った。

 「芯に当たったので抜けたと思いました。全打席で出塁してチャンスメークしようと思っていた。感覚はよかったです」

 苦しみと向き合い、成長につなげた4年間だった。甲府工(山梨)時代は強肩強打の捕手として活躍するも、駿河台大では2年秋に左手の有鉤(ゆうこう)骨を骨折し、納得のできないスイングが続いた。小学生の時からポジションは捕手一本だったが、3年春には、思い通りに体を動かすことができなくなる「イップス」を発症。ポジションを外野手にコンバートすることになった。

 それでも、今春には右翼手のレギュラーを獲得。困難と向き合い続けた4年間を「感覚的には短かった。ストレスがたまる、もがいていたような感覚でした」と振り返り、「そういう経験が今後に生きてくる。人として野球への向き合い方が変わった」と前を向いた。

 最終シーズンを迎える前にある決断を下していた。有鉤(ゆうこう)骨の骨折以来、負荷を減らすためバットのグリップに小指をかけることをやめていたが、本来のスタイルに戻すことを決めた。同じくグリップに指をかける中村紀洋の映像を繰り返し視聴。ルーティンも「モノマネ」し、頭と体に理想の打撃を刻んだ。

 「逆方向にも鋭く強く打てる感覚になった」と自信を胸に臨んだ最終戦の4打席。右飛、右飛、中前打、右中間二塁打。すべてセンターから逆方向への強烈な打球だった。「大学では何も残せなかった」と振り返るが、努力は結果に現れた。

 プロ志望届は提出済みで、今後は独立リーグでの活躍を狙う。「自分の思い描いていたような結果は残せなかった。悔しい気持ちはありますけど、その思いを今後にぶつけたい。できるだけ上の世界で野球を続けたいと思います」。何度も苦難に打ち勝ってきた風間。次のステージで経験はきっと生きる。(柳内 遼平)

 ◇風間 球星(かざま・きゅうせい)2000年9月30日生まれ、山梨県甲州市出身の22歳。奥野田小3年時に奥野田スポーツ少年団で野球を始める。塩山中では軟式野球部に所属。甲府工(山梨)では甲子園出場なし。駿河台大では1年春からベンチ入り。50メートル走6秒0。遠投100メートル。1メートル80、82キロ。右投げ右打ち。

 ☆風間4兄弟全員に球の字 野球一家の風間4兄弟は全員が名前に「球」の字が入る。長男・球道さんは山梨学院で内野手としてプレー。三男・球打はノースアジア大明桜(秋田)で投手としてプレーし、昨年のドラフト1位でソフトバンク入り。末っ子の中学生・球志良さんも野球をしている。

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