福留 古巣阪神へ「打線が中途半端。近本はもっと自信持って」 短期決戦は「悪いイメージ引きずらずに」

[ 2022年10月10日 08:00 ]

セCSファーストステージ第2戦   阪神0―1DeNA ( 2022年10月9日    横浜 )

試合を解説する福留孝介(左)と新井貴浩氏(撮影・島崎忠彦)
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 今季限りで現役を引退した中日・福留孝介外野手(45)が横浜スタジアムを訪れ、本紙に「観戦記」を寄せた。プロ24年間の現役生活では国際大会を含めて数多くの修羅場を経験。テレビ中継のゲスト解説では阪神時代のチームメートでもあり、広島新監督に決まった新井貴浩氏(45)と同席し、短期決戦を戦う秘訣(ひけつ)を「悪いイメージを引きずらない」と説いた。

 見慣れた球場もバックネット裏の放送席からの景色は新鮮でした。見る角度が変われば、これほど見え方も変わるのかと感じました。グラウンドでは両軍ベンチの動きや監督、選手の表情を同時に見ることはできなかったので、ベンチワークなど新たな発見もありましたね。

 阪神打線は最後まで的を絞ることができませんでした。狙いは球種だったのか、コースだったのか…。少し中途半端な印象を受けました。2巡目からは積極的に攻撃を仕掛けるなどチームとして新たな策を打っても良かったと思います。

 唯一にして最大のチャンスは1点劣勢の7回でした。1死三塁で打者は近本。DeNAは左腕エスコバーではなく右腕の伊勢を起用しました。左対左ではなく、力勝負を選択。「犠飛でも1点」という状況で近本は内角やや高めの初球直球を打ち損じました。

 本来の近本であれば悪くてもバックネットにファウルとなっていたと思います。大切に打ちにいったことで三邪飛という結果になったと推察します。「犠飛でも1点」。その打者心理は十分理解できますが、近本レベルの選手であれば「必ず前に飛ばせる」という自信を持ってもらいたいです。中途半端な打撃となったことが悔やまれます。2三振の佐藤輝も「らしさ」は影を潜めていました。同じ三振でも長所であるしっかり振ることは続けてほしいです。

 一方の投手陣は素晴らしかったです。伊藤将、西純、ケラーともに力で押し切って流れをつくりました。梅野の好リードも光りました。伊藤将―梅野のバッテリーは右打者に対して通常はツーシーム、外角からのスライダーが多いですが、この日は内角への厳しいボールを多投。三ゴロに打ち取った4回の牧に対しても初球から内角を攻め、最後は外角ツーシームで引っかけさせました。
 1勝1敗の五分となり、負ければ終わりです。短期決戦を戦う上で重要なことは「悪いイメージを引きずらない」ことです。若手が多い阪神は武器でもある若い力による勢いを前面に出して戦うことが大切。DeNAは宮崎、ソトがつないで得点を奪ったことが第3戦への弾みとなります。短期決戦ではベンチが積極的に動くことも必要ですが、選手が悪いイメージを引きずっていれば意味がありません。気持ちの切り替えが何より重要です。

 最後に。放送席では広島の次期監督・新井さんの隣で試合を見ましたが、いろいろ考えておられ、先、先を見られていると感じました。来季からは新井監督の采配を見ることも非常に楽しみです。(中日ドラゴンズ外野手)

 ▽福留のCS成績 阪神在籍中に13年から19年にかけて5度出場した。渡米前中日時代の07年は2位で進出も右肘の手術で欠場。21年の中日復帰後はチームの進出がなかった。通算21試合で打率・230、5本塁打、8打点。5本塁打は阪神選手として最多で、14年と17年ファーストS第1戦にそれぞれ決勝弾を放っている。

 ◇福留 孝介(ふくどめ・こうすけ)1977年(昭52)4月26日生まれ、鹿児島県出身の45歳。PL学園、日本生命を経て、98年ドラフト1位で中日入団。02、06年の首位打者のほか、3度の最高出塁率に輝く。07年オフにFAでカブス移籍。13年阪神で日本球界に復帰。21年古巣の中日に復帰。22年限りで現役引退。右投げ左打ち。

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