やめようとしていたが…村田兆治氏、心機一転「子供たちのために80まで頑張る」

[ 2022年10月5日 07:50 ]

自宅近くで逮捕時の状況を説明する村田兆治氏 
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 レジェンド右腕の大立ち回りに驚かされた。9月23日午後、元ロッテ投手の村田兆治氏(72)が現行犯逮捕された。逮捕容疑は第1ターミナル北ウイングの検査場で、30代の女性検査員の左肩を右手で押すなどした疑い。携帯電話を手にしており、金属探知機に何度か引っかかったことに腹を立てたとみられ、右手で左肩を押したという。

 ダイナミックな投球フォームの「マサカリ投法」が代名詞。通算215勝を挙げ、05年には野球殿堂入りも果たした。引退後も野球教室を開催するなど球界の発展に尽力していただけに、逮捕の一報に関係者には衝撃が走った。25日、村田氏が釈放され、会社から突撃取材を命じられた。90年に現役を引退しており、記者はギリギリ、現役時代を知らない世代。頑固一徹な性格から「昭和生まれの明治男」とも呼ばれており、かなりの緊張感を抱きながら現場へ向かった。

 ただ、実際に会ってみると、印象はガラリと変わった。東京空港署での釈放から数時間後、帰宅した村田氏を直撃すると「じゃあ、そっちへ」と、夜10時過ぎの訪問にも関わらず、近くの公園で今回の経緯について話してくれた。「(女性が)前にきたから“どいて”と。まさか、それが暴力になるとは…」と戸惑いつつも「触れたのは事実は事実。女性に誠心誠意謝りたい」と反省の弁を口にした。さらに、新聞紙を切り抜くためにスーツケースに入れたままだったはさみも事を大きくしてしまったと丁寧に説明してくれた。

 何度も口にしていたのは「女性への謝罪」とともに「子供たちへの裏切り」だった。村田氏は、全国離島交流中学生野球大会(通称・離島甲子園)を提唱。次世代を担う人材の育成を目的に全国の離島を巡って、大会の開催や野球教室などを精力的に行っている。それだけに「子供たちに夢と希望を伝授しながら、行動は責任を持ってやっているつもりだった」と自責の念に駆られていた。

 今後については「もうすぐ73歳。75、76で(活動を)やめようと思っていたけど、人生に引退はない。子供たちのために80まで頑張る。老体にムチを打って骨が折れるかも分からないけど」と野球界への恩返しを続けることを誓った。過ちを犯した過去は変えられないが、未来は変えられる――。村田氏の人生の「完投」を見届けたい。(記者コラム・花里 雄太)

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2022年10月5日のニュース