森繁和氏 エンゼルス・大谷の規定投球回到達の鍵は右打者内角のツーシーム

[ 2022年9月5日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス2―1アストロズ ( 2022年9月3日    アナハイム )

<エンゼルス・アストロズ>8回1失点と好投した大谷(撮影・白鳥 佳樹)
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 シーズン規定投球回まで残り26イニング。エンゼルス・大谷にはぜひ到達してほしいし、そのためにはツーシームこそが大きな助けとなる。

 シュート回転をしながら沈む球種。3回1死ではマコーミックを、外角のボールゾーンからググッと入ってくる「バックドア」のツーシームで見逃し三振に仕留めた。それも100マイル(約161キロ)と威力満点のボールを、大谷は外角だけでなく右打者の内角へも投じていた。打者の手元での鋭い変化は、早いカウントでゴロアウトなどの凡打を誘うのに非常に有効だ。この日も奪三振は少ない一方、球数を減らすことに成功し、8回を投げることができた。

 なぜツーシームが大きな武器になりえるのか。大谷はこれまで、右打者の内角にあまり直球を投げ込まない傾向があった。配球は外角の直球、スライダーの出し入れが中心だったが、外角一辺倒ではどうしてもファウルなどで粘られる。イコール球数が増えてしまう。ここで必要なのが内角のツーシーム。それも100マイルともなれば引っ張って本塁打されることは、まずない。内角を意識させれば、今度は外角のスライダーも生きるという相乗効果が生まれる。

 この日のアストロズの先発オーダーは左打者がわずか2人。右打者が多かったこともフォーシームの直球ではなく、ツーシームの多投につながっただろう。この日はスプリットの状態が悪くほとんど投げていなかった。それだけにツーシームという選択肢が増えたことで、投球の幅は大きく広がると思う。(スポニチ本紙評論家)

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2022年9月5日のニュース