阪神・糸井引退も 19年目41歳“超人”今季わずか61試合出場…近く球団と話し合いへ

[ 2022年9月5日 05:00 ]

鳴尾浜での練習に参加し、ストレッチをする糸井(撮影・後藤 正志)
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 阪神・糸井嘉男外野手(41)が去就について近日中に球団と話し合いを持つことが4日、分かった。19年目の今季は1軍に定着した08年以降では最少の61試合出場にとどまり、今季限りで現役を引退する可能性が高くなった。現在は新型コロナウイルス感染から復帰して2軍で実戦調整を重ねている。

 「超人」に決断のときがきた。球界関係者の話を総合すると、近く球団側と去就に関して話し合う意向で、会見も開く予定。そこで現役引退を表明する可能性が高まった。

 19年目の今季は単年契約を結び、不退転の覚悟で臨んだシーズンだった。2月の春季キャンプでは若手に交じって初日からフルメニューを敢行し、オープン戦でも好結果。2年ぶりに開幕スタメンの座を奪い返し、3月25日のヤクルト戦では「6番・左翼」で本塁打を含む3安打で発進した。

 3、4月は打率・296、3本塁打、15打点と快調な滑り出しを切りながら、5、6月は打率1割台に低迷。島田や佐藤輝ら若手との世代交代が進む中で出場機会が減っていった。先発出場は44試合にとどまり、4日時点で61試合で打率・222、3本塁打、22打点だった。

 8月10日には新型コロナウイルスに感染して一時離脱。「1週間こもっていたので、40歳を超えたら(状態を)戻すのに大変」と苦労を打ち明けていた。同23日のウエスタン・リーグのオリックス戦で実戦復帰。以降は1軍昇格に向けて実戦調整を重ねていた。

 17年にオリックスからFAで加入し、走攻守で猛虎をけん引してきた。阪神2年目の18年には通算1500安打と150本塁打を達成。昨年9月11日広島戦では史上最年長40歳1カ月で300盗塁を記録するなど、功績を残してきた。

 その一方、近年はけがとの付き合いが続いた。18年には右足腓骨(ひこつ)の骨折に加え、左肩腱板(けんばん)を部分損傷。翌19年からは右膝の古傷の痛みにも悩まされてきた。年齢も重ね、コンディション面でも苦労。レギュラーの座も若手に明け渡し、代打に甘んじても前だけを見て、懸命にプレーを続けてきた。

 昨年12月の契約更改の場では「やらしてもらえて率直にありがたい。アピールしていきたい」と意気込んでいた。日が進むにつれ、心境にも変化が表れたもよう。このままユニホームを脱ぐ可能性が高い。

 ◇糸井 嘉男(いとい・よしお)1981年(昭56)7月31日生まれ、京都府出身の41歳。アマチュア時代は投手。宮津では甲子園出場なし。近大に進み、4年春に5勝を挙げてMVP。03年ドラフト自由獲得枠で投手として日本ハム入団。06年途中に外野手へ転向し、09年から6年連続で打率3割をマーク。13年にトレードでオリックスへ移籍し、14年に首位打者。16年に盗塁王。16年オフにFA権を行使して阪神に移籍。タイトルはほかに最高出塁率3度。主な表彰はベストナイン5度、ゴールデングラブ賞7度。13年第3回WBC日本代表。1メートル88、99キロ。右投げ左打ち。

 ≪16年には最年長35歳で盗塁王≫糸井は09~14の6年連続を含む、打率3割を9度マーク。通算打率・296は歴代32位(4000打数以上)で現役5位。現在は大台を割っているが、20年までは3割をキープ。4000打数以降で最高の19年終了時点・302は歴代22位だった。持ち前の走力でオリックス時代の16年、35歳で獲得した盗塁王(53盗塁)は同タイトルの最年長記録。快足は阪神移籍後も健在で17、18年は2年連続の20盗塁以上。21年9月11日には史上31人目の通算300盗塁。40歳1カ月は99年秋山幸二(ダイエー)の37歳3カ月を更新する最年長到達だった。

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