エンゼルス売却の背景…トラブル、相次ぐ補強失敗、大谷残留も伏線?

[ 2022年8月25日 02:30 ]

大谷とモレノ球団オーナー
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 モレノ・オーナーのエンゼルス売却の背景には、主に3つのポイントが挙げられる。

 (1)トラブル 球団は19年に3億2000万ドル(約438億4000万円)で球場とその周辺の駐車場の買収にアナハイム市と合意していた。しかし、FBI(米連邦捜査局)の宣誓供述書で、当時の市長が汚職の疑いで捜査を受けていたことが判明。今年5月、市議会は満場一致でこの合意を無効とした。

 また、19年に急逝したタイラー・スカッグス元投手に関して、医療用麻薬の使用に関して球団の責任を問う裁判を控えている。

 (2)相次ぐ補強失敗 モレノ氏はオーナー就任当初、ファンの声を直接聞きたいとビールの値段やサービスについて観客席で耳を傾けた。メディアにも友好的だった。変わったのはベテランのビル・ストーンマンGMが07年限りで引退後。現場に口を出し始め、それがうまくいかず批判されると過敏に反応した。

 欠点の一つが「衝動買い」だ。12年オフに強打者ハミルトンを自ら交渉に出向き5年契約で獲得したが、当時の最大の補強ポイントは投手。しかも活躍できず、わずか2年で同地区の宿敵レンジャーズに送り返すはめになった。19年オフには右腕コール(現ヤンキース)の争奪戦に敗れると、なぜかナショナルズからFAの三塁手レンドンと7年契約。同じ失敗を繰り返した。

 (3)大谷残留も伏線? 大谷を出して多くの有望株を獲得するなら、今夏が最大の売り時だったという見方が強い。ただ、残留したことで、新オーナーにとっては大谷という魅力的な「資産」が残ったのも事実だ。

 現在76歳のモレノ氏の家族で、球団を引き継ぎたいという人物はいない。03年4月の買収額は1憶8400万ドル(約252億円)で、現在の資産価値は約22億ドル(約3000億円)と見積もられる。単純計算で12倍になった。モレノ氏にとっては、いい投資だったと言えるのかもしれない。

 ≪新オーナーの候補にジョー・レイコブ氏≫地元紙ロサンゼルス・タイムズは、エンゼルスの新オーナー候補にNBAウォリアーズのオーナー、ジョー・レイコブ氏を挙げた。同氏は過去20年間にエ軍、ドジャース、アスレチックスの買収を検討。同紙の取材に対し、レイコブ氏から「この質問(エンゼルス買収の可能性)にそんなに早く答えることはできない」と絵文字付きのメールで返信があったという。その他、NFLラムズのスタン・クロエンケ・オーナー、大リーグ球団拡張を目指しているデーブ・スチュワート氏が率いるグループらが挙げられている。

 ≪エンゼルスの資産価値は9位≫米経済誌フォーブスによれば、メジャー30球団の資産価値トップはヤンキースの60億ドル(約8200億円)で、ドジャースの40億7500万ドル(約5600億円)が続く。エンゼルスは22億ドル(約3000億円)で9位にランクされている。

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2022年8月25日のニュース