大谷と同じ時代に生きてよかった。引退するまで二刀流を貫いてほしい

[ 2021年10月3日 07:55 ]

ファンを魅了し続けるエンゼルス・大谷翔平(撮影・沢田 明徳)
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 およそ100年前、米国のファンがベーブ・ルースに対して抱いた感情は同じだっただろう。「同じ時代に生きて良かった」。日本人ながらメジャーの舞台で本塁打王争いを展開し、ア・リーグMVPの最有力候補にも挙がるエンゼルス・大谷翔平投手(27)のことだ。コロナ下で沈む日本に、どれだけの勇気と元気を与えていることか。朝起きてから成績をチェックするのが日課となった人も多いことだろう。

 記者は16年から19年まで日本ハムを担当。16、17年の2年間は大谷を近くで取材する機会に恵まれた。栗山監督は当時から「絶対にメジャーで二刀流で活躍させる」という強い信念を持って大谷と接し、何よりもコンディションに気を配っていた。だから少しでも故障につながるような行動をした際は、それがたとえチームのための行動であったとしても「誰も歩いたことがない道を歩くと、俺と約束したんじゃなかったのか!」と心を鬼にして叱りつけたという。

 日本ハム担当時代、プロ野球OBや関係者の言葉としてよく耳にしたのは「打者に専念すれば60発は打てる」や「投手に専念すれば、もっと年俸が上がる」と言った意見。誰がどんな意見を言おうとも、二刀流への強い思いを持って団結していた大谷、栗山監督、球団の方針がぶれることはなかった。何より、どちらかに専念した時点で「誰も歩いたことがない道」から「誰かが歩いた道」となってしまう。今後も成績が落ちたりしたタイミングで「専念論」が再燃するだろうが、記者の勝手な希望としては引退するまで二刀流を続けてほしい。

 日本ハムが花巻東からプロ野球を経ずにメジャーに挑戦する意向を表明していた大谷をドラフトで指名していなければ、そして二刀流を打診していなければ、今年の夢のような時間はなかった。日本時間4日はエンゼルスの今季最終戦。最終結果がどうであろうとも、投手で9勝を挙げ、本塁打王争いを展開した2021年の大谷は、伝説として語り継がれていくだろう。(記者コラム・山田忠範)

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2021年10月3日のニュース