【スポニチ潜入 大阪発(12)】岐阜第一・阪口 投打にセンス抜群 大谷翔平の背中追うドラフト目玉候補

[ 2021年6月1日 09:00 ]

岐阜第一・阪口楽選手
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 スポーツニッポン新聞社では、今年も企画「スポニチ潜入」でアマチュア野球の有力選手(高校、大学、社会人)を記事と動画で紹介します。大阪本社では「スポニチ潜入 大阪発」と題し、エリア内の有力選手を紙面、公式サイト「スポニチアネックス」、YouTube公式「スポニチチャンネル」において取り上げます。第12回は守っては投手、三塁、外野を兼務し、打っても高校通算20本塁打超。エンゼルス・大谷翔平の背中を追う逸材、岐阜第一・阪口楽選手(17)です。

 これほど「楽」しみな素材には、なかなか巡り会えない。岐阜第一は部員80人以上の大所帯。それでも中堅110メートル、両翼95メートルの専用グラウンドに到着して練習に目をやると、すぐに阪口の居場所は分かった。一人だけ体格と、その身にまとう雰囲気が違うからだ。

 1メートル87、89キロ。投げては最速140キロ以上の本格派右腕であり、打っても高校通算20発以上の左打ちのスラッガー。投打両面に非凡なセンスを兼ね備え、エンゼルス・大谷をほうふつさせるスケール感を漂わせる逸材だ。

 「阪口楽」の名を広く知らしめたのは、昨夏の岐阜大会・準々決勝の帝京大可児戦だった。2点リードの9回に加藤翼(現中日)が投じた149キロ直球を右翼席へたたき込み、この試合2本目の本塁打をマーク。阪口自身も「あの試合の一発が自分の高校野球人生の転機になったと思っています」と振り返る一撃で、一躍、ドラフト上位候補に躍り出た。

 最速143キロ直球とナックルカーブを武器とする本格派右腕でもあり、投打両面で注目を集める。だが本人は冷静に自己分析しており、現時点では「投手としては実力が全然、足りないので野手としてプロに行きたいと思っています」と言う。そのために2年秋の公式戦終了後から投手、右翼に加え三塁の練習にも着手。今春の練習試合でも約半分の試合で、三塁手として経験を積んだ。「上の世界でやるためにできるだけ可能性を広げたいと思ったので」。明確な目標を持ち、そこへ向かう努力も怠らない。

 広角に強い打球を打つために、理想に掲げるのは「左中間」だ。「左中間に本塁打を打つのが、自分の理想です。常に意識しています。ボールとバットの接触時間を長くすることを意識していて、そのためには左中間に打つことが一番、接触時間が長くなるので。なので、2年の冬には打撃練習でも、ずっと左中間に打ち返すことを意識してやっていました」。理論と、それを体現する技術、パワーを持ち合わせる。

 目標とする選手はエンゼルス・大谷。「目標というか、憧れている選手です」と、はにかむ。特に「ただ単にファン」と言うほど憧れているのは「打者・大谷」。暇を見つけては、YouTube上にある大谷の打撃動画に目を凝らす。「軽く振って飛ばすというイメージで打っているので、自分もそういうイメージでバッティング練習をしています。すり足で足を上げないという部分は、ちょっと(大谷選手を)意識してやっています」。憧れの存在に一歩でも近づくべく練習に励む。

 入学時は1メートル83、94キロと少し太り気味だったという。そこで入学後2カ月でいったん80キロまで体重を落とし、そこから筋肉で9キロの増量に成功。今ではチーム一のフルスクワット160キロなど、鍛え上げた肉体が飛距離の原動力となっている。

 福知山成美監督時代から多くのプロ野球選手を送り出してきた田所孝二監督も「阪口の場合はこれまでとは違います。まず見に来られるスカウトの数が違います」と笑い、「まだ完成していない。まだまだ伸びしろがありますよ」と期待を寄せる。阪神・熊野輝光スカウトが「打球を飛ばせる上に柔らかさがある」と評価するように全12球団から熱視線を浴びる阪口。「自分の夢はずっとプロ野球選手」と話した上で「その前に、まずは甲子園に出たい」と言葉に力を込めた。(文、動画撮影=惟任 貴信)

 ◆阪口 楽(さかぐち・うた)2003年(平15)6月24日、京都府京田辺市出身。小5で野球を始め、中学時代は「オール山城ヤング」で投手兼一塁手としてプレーし、2年冬に関西選抜。岐阜第一では1年春から背番号12でベンチ入りし2年夏から背番号1。50メートル走6秒6、遠投105メートル。握力は左57、右56。1メートル87、89キロ。右投げ左打ち。

 ※岐阜第一・阪口選手の動画は「スポニチチャンネル」において配信中です。

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