ツインズ・マエケン初の開幕投手決定に「日本で初めて務めたときと重みが全く違う」

[ 2021年3月16日 02:30 ]

オープン戦   ツインズ5ー5レッドソックス ( 2021年3月14日    フォートマイヤーズ )

<ツインズ・レッドソックス>先発で4回を投げ無安打無失点の前田(AP)
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 メジャーでは、その大役を「Opening Day starter」と呼ぶ。ツインズの前田健太投手(32)が、今季の開幕投手を務めることが14日(日本時間15日)、発表された。敵地で4月1日(同2日)のブルワーズ戦でマウンドに立つ。メジャー6年目で初めて。大リーグ公式サイトは「The reward for consistency(安定感のご褒美)」と評した。パドレスのダルビッシュ有投手(34)も、本拠で迎える開幕4.1ダイヤモンドバックス戦先発の最有力候補。メジャーきっての「Spin artist(変化球の芸術家)」が、米10年目で2度目の舞台へと歩を進める。同一年で同日に日本選手2人が開幕投手を務めれば、大リーグ史上初めて。2021年の「第1球」を投げる。

 Feels like a dream――。

 「少し宙に浮いているくらい」。ツインズ・前田は前回9日の登板後にロッコ・バルデリ監督から大役を告げられたときの心境をそう表現した。

 「メジャーに来て、開幕投手ができる日が来るとは思わなかった。信じられないくらいうれしい出来事」

 開幕投手にふさわしい投球だった。先発で4回を投げ、無安打無失点。1つの四球を許しただけで5三振を奪った。直球でファウルを取り、決め球のチェンジアップやスライダーの精度も前回から向上。球速の違う2種類のカーブも操り、2三振を奪った主砲マルティネスには70マイル(約113キロ)の緩いカーブを試す余裕もあった。「どこかで投げたいと思っていた。ああいうボールをチャレンジで投げていくことも大事。いい手応えがあった」。多彩な変化球に制球力。そこに緩急も加わり、オープン戦は計9回を1安打無失点と無双状態である。

 同学年の田中将(楽天)に常に刺激を受けてきた。ヤンキースで活躍したライバルの姿に「オレもやらなきゃいけない」と奮い立たせ、16年に海を渡った。ドジャースでは先発としての地位を確立できず、ポストシーズンでは中継ぎに回った。移籍1年目の昨季はコロナ禍による60試合制の中、6勝1敗、防御率2.70の好成績でサイ・ヤング賞の記者投票で2位に入った。ライバルが日本に戻った今季。日本投手が開幕投手を務めるのは、19年の田中将以来だ。

 バルデリ監督は「去年の成績や彼の振るまいを見ても、大役にふさわしい」と理由を述べた。広島時代は5度も務めているが、当時は若さと勢いで投げていた。年齢とプレーを重ね、心境も変わる。

 「メジャーで開幕投手を務めるのがどれだけ大変か知っているし、プレッシャーもある。重みとしては日本で初めて務めたときとは全く違う」。4月1日(日本時間2日)の敵地でのブルワーズ戦。日米通算150勝を誇る32歳は「開幕投手の緊張感やプレッシャーをしっかり味わいながらマウンドに上がりたい」と力強く言った。(奥田秀樹通信員)

 ▽前田の過去の開幕投手 広島時代に開幕投手を5度務め1勝2敗。初の大役となった10年の中日戦は8回1失点&2安打1打点と投打に活躍。3―1の勝利に貢献し、初陣の野村新監督に初勝利をプレゼントした。21歳349日での開幕勝利は球団2番目の年少記録にもなった。続く11年の阪神戦は6回5失点、12年の中日戦は5回3失点と2年連続の敗戦投手となった。14年の中日戦は勝利投手こそ逃したが6回2失点と好投し、チームは延長10回3―2で勝った。翌15年のヤクルト戦は7回2失点も、延長11回の末2―4で敗戦と力投が報われなかった。

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