35年ぶり!日本シリーズ全試合DH制 コロナ禍で「異例中の異例」開幕2日前のルール変更

[ 2020年11月20日 05:30 ]

日本シリーズ 21日開幕   巨人―ソフトバンク

日本シリーズで全試合DH制で戦った巨人・原監督(左)とソフトバンク・工藤監督
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 日本野球機構(NPB)は19日、ソフトバンクと巨人が争うあす21日からの日本シリーズで、全試合DH制を導入するようルールを変更すると発表した。シリーズの全試合DH制は85年の阪神―西武以来35年ぶり2度目。コロナ禍による過密日程の中、投手の負担軽減のためにと18日にソフトバンクから申し入れがあり、この日の臨時実行委員会で今季限りの特例として決まった。また、この日は両軍40人ずつの出場資格者名簿も発表された。

 オンラインで会見したNPBの井原敦事務局長自ら「異例中の異例」というタイミングでルールが変更された。開催要項は10月の理事会で承認され、11月4日に発表済み。「パ・リーグのホームゲーム(第3、4、5戦)ではDHを採用する」と明記されていた。開幕わずか2日前に決定した全試合DH制。斉藤惇コミッショナーは「例外的な処理も必要と判断し、12球団の同意をいただきました」とのコメントを出した。

 井原事務局長はルール変更への経緯についてソフトバンクから提案があったことを明かして「通常より選手の疲労、肉体的負担が格段に多かった特殊なシーズン。全試合DH制を実施することで、投手の負担、故障のリスクを少しでも低減する」と説明した。今季はベンチ入り人数や1軍登録枠を増やすなど感染防止や過密日程が続く中での負担軽減へ、さまざまな特例が導入されたが、今年最後の頂上決戦でも大きくルールが変更となった。

 ソフトバンクの申し入れは前日18日。この日の夕方の臨時実行委員会で議論した。対戦相手で原監督がセ・リーグへのDH制導入を提唱している巨人は「十分理解できる」という意見。ただ、あまりに急な提案にセ5球団からは難色を示す声も多く、同シリーズで13年から昨年までDH制試合で17連勝中のパ・リーグに、より有利に働く変更をパ球団が提案することへの違和感を指摘する声も上がったという。井原事務局長は「“コロナ禍の20年日本シリーズに限る”ということで結論が出た」と語り「もちろんセ・リーグでその(DH制導入の)議論が続けられているのは承知しているが、今回の決定とは一切関係ありません」と強調した。

 過去唯一の全試合DH制だった85年はセ・リーグの阪神が4勝2敗で制した。未知のウイルスの影響を受けた一年。最終決戦も、突然のルール変更という異例の事態となった。(後藤 茂樹)

 ○…日本シリーズの過去10年間のDH制で行われたパ本拠地の成績を見ると、パ球団は23勝7敗の勝率・767。楽天が13年の巨人第7戦(Kスタ宮城)に勝ってからパ球団は昨季まで本拠地17連勝中とDH制を利してセを圧倒している。また、巨人はこの間、12年(対日)、13年(対楽)、19年(対ソ)にシリーズ進出。球場ごとの勝敗を集計すると本拠地の4勝4敗に対しDH制の敵地では3勝6敗と苦戦しているが今回はどうか。なお、パの本拠地で勝ち越したセの球団は、11年中日がソフトバンクを相手にヤフードーム(現ペイペイドーム)で3勝1敗としたのが最後だ。

 ≪85年の阪神は「2番・DH」に弘田≫日本シリーズが全試合DH制で行われたのは阪神が4勝2敗で日本一に輝いた85年の阪神―西武戦だけ。阪神はシーズン中、2番・中堅での出場が多かった36歳のベテラン・弘田澄男が2番・DHで全試合フル出場。打率.136ながら3犠打を決めるなど、3番・バース、4番・掛布雅之、5番・岡田彰布へのつなぎ役として貢献した。一方、西武は全6戦中5戦で5番・DHとして大田卓司を先発起用。打率.176、1本塁打、1打点と振るわなかった。

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