広島の新ヘッド・河田雄祐氏 再建へ待ったなし「湧き出るパワーを選手から引き出す」

[ 2020年11月20日 05:30 ]

就任会見に臨む広島・河田ヘッドコーチ
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 広島の来季1軍ヘッドコーチに就任する河田雄祐氏(52=前ヤクルト外野守備走塁コーチ)が19日、広島市南区の球団事務所で記者会見を開いた。広島の外野守備走塁コーチを務めた16、17年に機動力野球を推進し、リーグ連覇に導いた陰の功労者。人心掌握術に優れ、チーム再建を担う参謀としての再入閣に「湧き出るパワーを選手から引き出すのが一番の仕事」と力を込めた。

 惜しまれて退団したリーグ連覇の功労者が帰ってきた。球団事務所で会見した河田氏は4年ぶりの古巣復帰に「カープは僕がプロのスタートを切った球団。また赤いアンダーシャツを着て、後輩たちと野球ができることをうれしく思う」と白い歯をのぞかせた。

 新しい職務は、就任2年目に臨む佐々岡監督の参謀役だ。同じ1967年生まれ。95年オフに西武へ移籍するまで6年間プレーし、気心を知る。ただ「どういう野球をやるか、細かな話はこれから」とし、「いいタイミング、いい量で発言していけたら」と語った。
 過渡期を迎えたチームは2年連続Bクラスに低迷する。今季までの3年間、部外者として古巣を見てきた河田氏は「元気というか、湧き出るパワーが若干薄れているように感じた」と指摘。再建には、選手の熱い気持ちを対話で引き出すことが重要だと強調する。

 「何とかしてやるという気持ちがないと、相手に勝てない。選手のやる気を引き出し、体の芯から熱の入った動きができるように仕向けたい。そこが一番の仕事だと思う」

 専門分野の立て直しも急務だ。前回在籍時の17年はリーグ最多の112盗塁、成功率・737を誇ったが、今季はリーグ4位の64盗塁、同・653。「盗塁は数ではなく確率。連覇当時のイメージは消した」。過去を追い求めず、選手層や年齢に応じた機動力野球を新たに模索する。

 強いチームは、ベンチメンバーのレベルが高い…が持論。若いレギュラー候補のスキルを磨くのに「派手な一方で、チーム打撃に優れる選手が多かった西武時代の経験を伝えたい」とも語った。根底には、3連覇を経験した選手が主力で残るチームへの信念がある。

 「選手のポテンシャルやスキルはセ・リーグでもトップ。あとは選手をどう動かすか。自覚がないとダメなので、キャンプから言っていこうと思う」

 会見後にはスーツ姿でグラウンドに飛び出し、秋季練習中の選手や首脳陣にあいさつ。そのまま話し込む姿も見られた。来季巻き返しへ、人心掌握術に優れる新参謀に期待だ。
(江尾 卓也)

 ◆河田 雄祐(かわだ・ゆうすけ)1967年(昭42)12月22日生まれ、東京都出身の52歳。帝京から85年ドラフト3位で広島入り。俊足強肩の外野手として、主に代打や守備固めで出場。95年オフに西武へ移籍。1軍通算574試合、6本塁打、50打点、53盗塁、打率・223。02年に引退後は03~15年に西武、16~17年に広島、18~20年にヤクルトでコーチを歴任。1メートル75、75キロ。右投げ左打ち。
 

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