ヤンキース・マー君、前進1勝!打球頭部直撃を乗り越えて今季最長6回2失点

[ 2020年9月3日 02:30 ]

ア・リーグ   ヤンキース5―3レイズ ( 2020年9月1日    ヤンキースタジアム )

レイズ戦で今季6度目の先発登板したヤンキース・田中(AP)
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 ヤンキース・田中将大投手(31)が1日(日本時間2日)、レイズ戦に先発し6回3安打2失点で待望の今季初勝利を挙げた。開幕前のシート打撃で頭部に打球が直撃するアクシデントに見舞われた影響もあり、日米通じて最も遅い開幕6登板目での初白星。ただ、初回に自身が与えた死球に端を発し、試合終了直後に乱闘寸前の騒ぎが起こるなど後味の悪い幕切れとなった。

 絶対に落とせない一戦。ビッグゲームに強い田中らしさが光った。5回にキーアマイヤーに2ランを浴びた場面以外は、二塁を踏ませず。今季最長の6回、最多の88球を投げ抜いての初勝利だった。
 「勝ってもちろんうれしいし、自分に勝ちも付いた。試合数はかかったけど間違いなくこれがいい方向にいってくれると思う」

 前日に敗れ首位レイズに地区優勝マジック22が点灯。田中も18日の対戦で4回0/36失点でKOされチームも今季1勝7敗と大きく負け越していた。「何とかやり返したかった」。気合は十分だった。

 前回登板に並ぶ今季最長の5回まで2失点。初の6回のマウンドはギアを上げる余裕もあった。2番からの中軸との対戦で2三振。投球の約半分の42球のスライダーが効果的で筒香との日本人対決も二ゴロ、三直と圧倒した。これで今季は計6打数無安打。落とせば60試合の短いシーズンの流れが決しかねない窮地で存在を示した。

 1勝目まで6戦を要した。日米プロ14年目で最も遅い。「割り切っている。打球が当たったところから、いろんな意味で吹っ切れた」。かつてないシーズンを送る中、ふと漏らした言葉。7月4日のシート打撃でライナーが右側頭部を直撃した。コロナ禍でマイナーリーグは中止されておりリハビリ登板も行えず、実戦形式の練習だけで公式戦へ。当初は50球などの球数制限もある中で肩肘のビルドアップを求められ、それを実践した。

 試合終了後には乱闘寸前の騒ぎが起きた。9回に守護神チャプマンの100・5マイル(約161・7キロ)の剛速球が筒香の代打・ブロッソーの頭をかすめた。数年前から死球が多い同カード。直後に審判団は両軍に警告を発した。結局、空振り三振で試合終了も両軍がグラウンドに出てにらみ合う事態に発展。初回に田中がウェンドルに与えた死球が火だねだった。闘志むき出しの首位攻防戦。それだけに白星には価値がある。

 「いい状態に、ようやくそういう感じになってきた」と田中。異例の今季は16チームに拡大されたプレーオフが真の勝負。エースは調子を上げていく。

 【田中の今季経過】
 ☆7月4日 キャンプ再開初日のシート打撃に登板し、スタントンの打球がライナーで右側頭部を直撃。幸いCT検査などで異常は見られなかった。
 ☆5日 球団が病院の診断が「軽度の脳振とう」だったと発表。スタントンの打球が「112マイル(約180・2キロ)」だったと明らかに。田中もグラウンドに姿を見せた。
 ☆11日 報道陣の前でキャッチボールを再開。SNSで3日連続で行っていたことを明かす。
 ☆16日 非公開でブルペン入りを再開し、全球種を交え約30球。
 ☆21日 打者相手の投球を再開。5人に計20球を投げストライク11球で安打性の当たりはゼロ。
 ☆26日 マイナー施設で非公開で実戦形式の練習に登板。
 ☆8月1日 本拠地レッドソックス戦で今季初先発。球数制限あり、2回2/3を投げ4安打2失点(自責1)。以降、4試合に登板するも勝ち星はなし。

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2020年9月3日のニュース