中畑氏 学生野球の聖地 神宮をもっと大切に

[ 2019年11月12日 08:16 ]

神宮球場
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 【キヨシスタイル】今年は駒大野球部OB会長として何度も神宮球場に足を運んだ。9、10の両日は東都大学野球1部、2部入れ替え戦。3―1、2―0で2部1位の拓大に連勝。後輩が頑張って1部残留を決めてくれてやれやれだ。

 神宮に行くたびに目に入る新国立競技場。外観はもうすっかり出来上がっている。複雑だよね。神宮球場は来年7月6日から9月13日まで使えなくなる。東京五輪・パラリンピックの「機材置き場」っていうんだよ。

 1926年(大15)10月に完成した神宮球場。完成と同時に東京六大学野球連盟が使用を始め、32年(昭7)には東都大学野球連盟の前身、五大学野球連盟も使い始めた。巨人の前身、大日本東京野球倶楽部が誕生するのは34年だから、プロ野球より早くから歴史を刻んできた。

 甲子園が高校野球の聖地なら、神宮は大学野球の聖地。特に入れ替え戦がある東都大学出身の野球人にとっては特別な場所なんだよ。21大学が加盟して1部から4部まである戦国東都。神宮で試合ができるのは1部の6校だけなんだよ。

 たとえ五輪といえども、大先輩たちが100年近い年月をかけて築き上げてきた歴史をないがしろにするような使い方は絶対にしないでいただきたい。日本の国技とも言える野球。いまさら言ってもしようがないかもしれないけど、新国立競技場に隣接するロケーションを生かして日本の野球の歴史を神宮から世界に発信するチャンスだと思ってるんだ。

 東京五輪に絡む明治神宮外苑地区の再開発の一環で、神宮第2球場は一足早く野球場としての役目を終えた。神宮球場は六大学優先。東都は雨天中止なんかで日程が詰まってくると第2球場を使った。どんなに手応え十分の一発でも外野のネットに当たって落っこちちゃう。感動のないホームラン。今となってはそれも懐かしいよ。

 東京五輪後は第2球場を解体してラグビー場を建設。これが完成したら現在の秩父宮ラグビー場を取り壊して新神宮球場ができるという。完成予定は2027年。新神宮球場には学生野球の聖地にふさわしい殿堂をつくってもらいたいね。(本紙評論家・中畑 清)

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