侍J、豪に逆転勝ち!“神の足”周東、二盗!三盗!本塁突入!代走起用の稲葉采配ズバリ

[ 2019年11月12日 05:30 ]

第2回WBSCプレミア12スーパーラウンド第1戦   日本3―2オーストラリア ( 2019年11月11日    ZOZOマリン )

<日本・オーストラリア>7回2死三塁、源田のセーフティーバントで三塁走者・周東が生還(撮影・大塚 徹)                                                                                                                                       
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 「プレミア12」は11日、1次ラウンドを突破した6チームによるスーパーラウンドが開幕し、侍ジャパンはオーストラリアに3―2で逆転勝ちした。1点を追う7回に代走の周東佑京外野手(23=ソフトバンク)が二盗、三盗を決め、源田壮亮内野手(26=西武)のセーフティーバントで同点の生還。8回に押し出し四球で勝ち越した。1次ラウンドの成績が反映されるため、侍ジャパンは2勝0敗とした。

 ジョーカーの切れ味はすさまじかった。1点ビハインドで重たい空気がのしかかった7回。先頭の吉田正が中前打すると、稲葉監督は迷わず代走・周東を投入した。「絶対この回で僕が還って、同点にしてやろう」。どうしても1点が欲しい場面で、走り屋の本能をほとばしらせた。

 ボーク気味のけん制など厳しい警戒の中、浅村がエンドランで空振り三振した5球目に二盗に成功した。松田宣が三振で2死二塁となったが、まだ足は緩めない。「打者の源田さんには足がある。内野ゴロでも生きて、点が入る」と源田の3球目に三盗も決めた。

 最後の見せ場が訪れる。源田は続く4球目、2死三塁から自らの判断でセーフティーバントを敢行。周東は「正直びっくりした。でも、そこは信じてホームに突っ込もうと思った」。ノーサインの奇襲にも迷わずフルスロットル。タッチにきた投手を避けるように軽く体をよじり、同点のホームを左手で触れた。50メートル5秒7の快足で同点劇を完結させた。

 「警戒されている中でも盗塁ができる」。スペシャリスト枠で選出した稲葉監督の信頼と信念が実った。2回に鈴木が盗塁死。5回には源田がけん制死していた。バッテリーは終始、日本の足を警戒していた。その中で周東は冷静に探っていた。「三盗は松田さんの時から狙っていたが、足上げが小さくてばくちは打てないなと。一人待って。源田さんの初球を見た時に“いける”なと」。スピードに頼るだけでなく、頭脳もフル回転させた。

 打線はオーストラリアの変則右腕たちの動く速球を打ちあぐね、凡打を重ねていた。初見の投手相手の国際大会で、想定された事態。稲葉監督は打破するために切り札を使った。「二盗もだが、三盗も大きかった。あれでバッテリーはワンバウンドが投げにくくなり、揺さぶれた」。2死からの源田のセーフティーバントは「私もまさかと思った」と驚いたが「国際大会は何かやってやろうと、ああいうものが大事」。笛吹かずとも、指揮官の思いをくんだ選手たちが動き、実行した。

 侍ジャパンの歴史をひもとけば、多くの神走塁がチームを救ってきた。刻まれた新たな一歩。東京五輪での金メダルを目指す侍の「いだてん」が閃光(せんこう)のように輝き逆転勝利を呼んだ。(後藤 茂樹)

 【侍ジャパン過去の神走塁】
 ☆06年第1回WBC決勝(VSキューバ) 6―5の9回1死一、二塁からイチローの右前打で二塁走者・川崎が本塁突入。捕手のブロックのわずかな隙間へ右手を滑り込ませ生還し、WBC初制覇につなげた。川崎は右肘じん帯を損傷する決死の走塁だった。
 ☆13年第3回WBC2次ラウンド(VS台湾) 1点を追う9回2死から鳥谷が「チャンスがあったら行ってやろう」と二盗に成功。井端の同点の中前打を呼び、延長10回の末、競り勝った。
 ☆17年アジアチャンピオンシップ初戦(VS韓国) タイブレーク方式で3点を追う延長10回、上林の同点3ラン後に、西川が右前打で出塁し、すかさず二盗。田村の左中間二塁打でサヨナラのホームを踏んだ。西川は「野球をやってきた中で一番しびれた」。

 ◆周東 佑京(しゅうとう・うきょう)1996年(平8)2月10日生まれ、群馬県出身の23歳。東農大北海道オホーツクから17年育成ドラフト2位でソフトバンク入団。昨年10月のU23W杯に出場。今年3月26日に支配下選手登録され、102試合でチームトップの25盗塁。父親のいとこが元陸上110メートル障害日本記録保持者で、92年バルセロナ五輪出場の岩崎利彦氏。1メートル79、67キロ。右投げ左打ち。

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