大船渡・佐々木 ロッテから世界一のエースへ 世界一知る井口監督「まずは日本一の投手に」

[ 2019年10月30日 05:30 ]

井口監督(左)から指名あいさつを受ける佐々木(撮影・西尾 大助)
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 ロッテからドラフト1位指名された大船渡・佐々木朗希投手(17)が29日、岩手県大船渡市の同校で井口資仁監督(44)らから指名あいさつを受けた。2005年にホワイトソックスでワールドシリーズ制覇を経験した指揮官は、最終的な育成方針を「世界一の投手」に設定。最速163キロの剛腕も、その「夢」に向かうと同調した。二人三脚で、世界一の才能を開花させる。

 東京から約5時間かけ、大船渡まで来てくれた。目の前には自らの右手で引き当ててくれた井口監督が、笑みを浮かべる。佐々木も自然と笑顔になった。身震いするような熱いメッセージも受けた。

 「まずは日本一の投手になるために体力づくりからしっかり、やっていこう。その先の目標もあるよね?」

 日本一の先には「世界一」がある。そう、理解した。17日のドラフト当日は、大谷翔平(エンゼルス)の国内最速165キロの更新を誓ったが、その上には世界最速169キロ左腕のチャプマン(ヤンキース)もいる。170キロ、侍ジャパンのエース、そしてメジャー――。163キロ右腕には無限の可能性が広がる。

 「(井口監督は)とてもオーラがあったし、かっこよかったです。目の前の目標からしっかりと達成し、いつかその夢を達成できるように頑張りたい」。途方もないチャレンジだが、佐々木は背筋が伸びるような思いで、その提案を受け入れた。

 05年にホワイトソックスでワールドシリーズ制覇を経験した井口監督は「まだ、身長も伸びていると聞いた」と1メートル90の長身にさらなる伸びしろがあると知った。国保陽平監督とも話し込み、「内に秘めた思いが強い子と聞いた。目力というか(目に)気持ちがこもっている」とプロ向きの性格とも確信。4球団競合の末に引き当てた“恋人”と対面し「間違いなく、一流の投手になる」とも言った。

 今オフ、球団は関東圏内の大学病院と提携し、さいたま市内の選手寮にスタッフが泊まり込むなど、「24時間体制」で食事、ケア、トレーニングのサポートが充実する。「しっかりパフォーマンスを上げてやりたい」と松本尚樹球団本部長。日本球界の宝を受け入れる準備も万全だ。

 「体力面だったり、大きく足りないと思うので、少しでも体を強くしていきたいです」。大船渡の校章にデザインされた「いちょう」が鮮やかに色づく秋。雨が降り、身震いするほど肌寒い東北の秋。新たな世界へ挑む佐々木は、しっかり足元を見つめていた。(福浦 健太郎)

《ロッテ最近の高卒ドラ1の1年目》
 ★15年=平沢大河(仙台育英) 10代選手では唯一の1軍キャンプスタートとなったが、オープン戦は12打数1安打7三振、打率.083。開幕は2軍で迎えた。イースタンでは5月上旬まで打率.294、4本塁打、22打点。同11日に1軍デビューし、最終的に23試合に出場。

 ★17年=安田尚憲(履正社) 1、2軍の振り分けなしで実施したキャンプでは好評価。練習試合では1軍帯同となったが、オープン戦で不振を極め、3月中旬に2軍降格。そのまま開幕を迎えた。8月10日に1軍初出場を果たし、60打席で打率.151。

 ★18年=藤原恭大(大阪桐蔭) 1軍キャンプでスタートし、対外試合全30試合出場。楽天との開幕戦では高卒新人では球団54年ぶり3人目のスタメンを果たした。プロ初安打も記録したが、4月7日に2軍降格。8月には走塁中に転んで左肩関節唇を負傷するなど、1軍出場はわずか6試合にとどまった。

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