大阪ガスV王手!小兵・近本が大仕事「まさかホームランとは…」

[ 2018年7月24日 05:30 ]

スポニチ後援第89回都市対抗野球第11日・準決勝

ヒーローインタビューを受ける近本と盛り上がる大阪ガスの選手たち(撮影・篠原岳夫)
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 準決勝2試合が行われ、大阪ガス(大阪市)は5番・近本光司外野手(23)の決勝ソロでJR東日本(東京都)を破り、3度目の決勝進出を決めた。過去2度は敗れ、日本選手権も3度決勝で敗退。今夏こそ「シルバーコレクター」の返上を目指す。三菱重工神戸・高砂(神戸市・高砂市)はセガサミー(東京都)を1―0で下し、48年ぶりの決勝進出。ともに初優勝が懸かる、24日の決勝は3年ぶりの関西対決となった。

 左打席から左翼席に届いた打球の行方は見なかった。値千金の今大会初アーチ。近本は夢見心地で振り返った。「まさかホームランとは…。後ろにつなごうと左翼方向に長打を打ちたかったから、外に意識を置いた」。JR東日本のエース板東の決め球、外角速球を打ち砕いた。

 今大会4試合で17打数10安打、打率・588と絶好調。2回にも左翼フェンス直撃の二塁打を放ち、四球で歩いた3回は50メートル5秒8の俊足を生かし、二盗に成功。大会記録にあと1と迫る4個目の盗塁となった。大阪ガスでは公式戦通算6本塁打ながら、大舞台で長打力まで覚醒した。

 入社2年目。関学大時代はプロを目指したが、4年の春秋に転倒と死球で2度も右腕 を骨折し、ドラフトと無縁だった。それでも憧れは捨てたくない。同じ左打ちの中堅手で、今季メジャーのオールスターでホームラン競争を制した強打者ブライス・ハーパー(ナショナルズ)のユーチューブ映像を見て、手本にしている。

 張り切る材料はまだある。中学時代に同級生だった未夢(みゆ)さん(23)と10年の交際を経て今春に結婚。プロへは1メートル70の身長がネックだが「常識を覆したい。小さい体でも頑張っているところを見せたい」と負けん気をのぞかせた。

 大阪ガスは00年、15年と頂点を目前に涙をのんでいる。今年1月、竹村誠前監督(現副部長)から引き継いだ橋口博一監督は「近本さまさまですね」と目を細め「しんどい試合が多いですが、優勝する気持ちで大阪から来ています。三度目の正直。精いっぱいやるだけ」と力強く言った。

 近本も同じ思いだ。「最後は自分らの力だけではなく、応援で一緒に盛り上げてください」。悲願へベンチ、スタンド一体で挑む。 (伊藤 幸男)

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2018年7月24日のニュース