広島、20日からの巨人3連戦開催へ 松田オーナー「復興の支えに」

[ 2018年7月10日 05:30 ]

豪雨災害の被害者を悼み、マツダスタジアムでは半旗が掲げられた(撮影・北條 貴史)
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 広島の松田元(はじめ)オーナー(67)は9日、西日本豪雨による甚大な被害を憂慮し、「カープが復興の支えになれば」と語った。マツダスタジアムで予定された同日からの阪神3連戦は既に中止が決定。日程上、本拠地では20日から巨人3連戦が控え、さらなる災害が起こらず、かつ復旧が進むことを前提に開催したい意向を示した。

 6日から8日にかけて西日本を襲った未曽有の豪雨。被害は広島県が最も甚大で広い範囲に拡大した。こうした状況を踏まえ、球団は9日から予定された阪神3連戦の中止を決定。松田オーナーは決断に至る経緯を説明しつつ、被災民の心情をおもんぱかった。

 「いまだに行方不明の方がいる。(阪神戦を)楽しみにされていた方々には申し訳ないが、(被災地の)皆さんが下を向いている状況下で、われわれが(試合で)頑張るといっても、受け入られる雰囲気にはないと思う」

 氾濫した河川の泥水や、大量の土砂などが市街地や家屋、車に流れ込み、広島県内の死者は40人を超えた。現在も安否不明者がいることから被害の全容はいまだに分かっていない。球場正面ゲート前に掲げられた国旗などは半旗とされた。

 球団にとっても被害は人ごとではない。選手や首脳陣の家族は無事だったものの、複数の職員が家屋を流されたり、床上浸水、自家用車水没などの被害を受けた。数人が現在も帰宅できないまま、ホテルなどで避難生活を送っているという。

 球宴前最後の3連戦になるはずだった阪神戦が中止になり、マツダスタジアムでの次回開催は20日からの巨人3連戦。松田オーナーは「復旧が進み、これ以上の災害が起こらないことが前提」とした上で、球団としての責務にも言及した。

 「20日の段階では(被災地の)人々の気持ちが前を向き始めているのでは…と思う。その時にこそ、一緒に頑張りたい。皆さんにしっかり戦うさまを見てもらい、復興の支えになれば。それがカープの宿命だと思う」

 地域に寄り添い、地域とともに歩んで来た球団。豪雨被害の全容が明らかになった時点で、選手会と連携しながら、復興と再建のための支援についても検討する方針だ。(江尾 卓也)

 ○…松田オーナーは阪神3連戦の中止を決断する上で既に12試合の雨天中止を重ねていた阪神側の事情にも苦慮したことを明かした。「阪神のことも心配した。雨で試合を結構流しているので、ものすごく迷惑をかけるんじゃないか…と」。第1戦のみ中止、あるいは第3戦のみの開催を検討したが、「そういうわけにはいかんじゃろう…と」。8日朝に阪神・揚塩球団社長に電話して方針を説明し、了解を得たという。

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