マー君貫禄 大谷を2K斬りも「抑えることは容易ではない」

[ 2018年5月29日 05:30 ]

ア・リーグ   ヤンキース3―1エンゼルス ( 2018年5月27日    ニューヨーク )

<ヤンキース・エンゼルス>6回、田中(手前)は大谷から2個目の三振を奪う(撮影・大塚 徹)
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 ヤンキースの田中将大投手(29)は27日(日本時間28日)、エンゼルス戦に先発し、6回を3安打1失点、8三振を奪う快投で6勝目を挙げた。「4番・DH」で出場した大谷翔平投手(23)とは3度対戦し、2三振1四球。日米で大きな注目を集め、投打で実現したメジャー初対決は、田中が先輩の貫禄を見せた。

 総仕上げだった。失投をシモンズに左翼席に運ばれ、初めて失点した直後の6回1死。田中は大谷と3度目の対決を迎えた。1ボールから「バックドア」だ。外角ボールゾーンからストライクゾーンに曲げるスライダーでファウルチップ。次は93マイル(約150キロ)直球を外角低めに投げ、見逃しを奪う。最後は宝刀スプリットを真ん中から沈め、空振り三振を奪った。

 「彼を抑えることは容易ではない。ここまで凄く打っていたし、それだけで神経を使う。なおかつ選球眼がいいので、くさいボールは振ってこなかった」

 難敵と認めるからこそ、細心の注意を払った。初回2死一塁はフルカウントから内角スライダーで空振り三振。4回無死一塁では四球を与えたものの、6回に2個目の三振を奪った。楽天時代の13年は11打数無安打6奪三振。5年ぶりの再戦でも全15球を投げ、かすらせることしか許さず、持ち前の制球力で4番を完璧に抑え込んだ。大谷も「(ストライクゾーンの)枠の隅を突いてくるようなコントロールを持っている。凄い所に投げつつ、審判も巻き込み、“ストライク”と言わせる」と評し、マウンドの極意に感服した。

 日本人対決に沸く周囲をよそに、個人的な気持ちはしまった。「特別な感情があったというわけではないです」。ヤンキースタジアムで全米を沸かす二刀流が4番に座り、ヤ軍のエースと対決する。日米問わず興奮のシナリオも、当事者は話が別だ。「お互い真剣にやりあう時に、そんな必要はない」。試合前から互いに視線も合わせず。4月下旬のカードでは握手で再会を喜び談笑したが、今カードはそんな雰囲気さえ漂わせなかった。「この戦いの場において、それは別にどうでもいい。こっちも気にしていない」。同じリーグで覇権を競い合うメジャーリーガーとして、それこそが敬意であり、パフォーマンスにつながる信念がある。

 イニングを重ね、手応えのあるカットボールを増やし、優位な土俵を組む。「全体的に狙い球を絞らせず、いろんなボールを使いながら投球できた」。強風、強まる雨脚など悪条件も感じさせず、涼しい表情で振り返った。メジャー通算58勝目。海を渡って5年目を迎えた男の自負がのぞいた。 (後藤 茂樹)

 ▼ヤンキース、アーロン・ブーン監督 田中は直球を軸にカットボールをうまく交ぜた。田中と大谷の対決を見るのは楽しかったし、素晴らしかった。

 ▼エンゼルス、マイク・ソーシア監督 田中は緩急を使うことができて、打者のバランスを崩す。

 《四球を許したのは大谷が初めて》田中は大谷以外にメジャーで日本人打者3人と対戦している。青木は8打数2安打1打点、川崎は5打数1安打、イチローは4打数2安打で、いずれも本塁打はない。4人全員から三振を奪っているが、四球を許したのは大谷が初。また、大谷はこれまで投手での投げ合いも打者での対戦も日本選手とは実現しておらず、この日の田中が初めてだった。

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