上原 今季限り引退へ 最後に…メジャーでイチローと「もう一回対戦したい」

[ 2018年1月21日 05:38 ]

女の子に投球フォームを指導する上原
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 カブスからフリーエージェント(FA)となり、移籍先が決まっていない上原浩治投手(42)が20日、野球教室を行った福島市で、今季メジャーでプレーして現役を引退したい意向を示した。巨人のエースとして活躍し、日本で10年。メジャーでも今季プレーすれば同じ10年の節目を迎え、引き際と判断した。プロ20年目を集大成とした42歳右腕が完全燃焼する。

 少年少女であふれかえった体育館が静まりかえった。上原の言葉が次第に熱を帯びる。司会者から「夢を持つことの大事さ」について問われると、自身の決意を明かした。

 「夢イコール目標と考えている。今の目標は、今年もう一年やりたい。もし契約があれば、ほぼ90%以上の確率で(今季限りで)辞めるつもり」

 事実上の引退宣言。4月で43歳となる右腕は理由をこう話した。「(日本で)10年、(米国で)10年で節目で終わるのが一番きれいだと思う。(今季の)メジャー契約があって良い成績を収めれば(来季の現役を)考えるけど、今のところは“今年一年”ということしか考えていない」。古巣・巨人を含め、国内復帰の可能性については「お誘いがないんだよなあ」と冗談めかしたが、退路を断ち、自らを奮い立たせた。

 カブスをFAとなり今季の所属先は未定だ。例年になくFA市場の動きが遅いが、光は見えつつある。「今、無職なんで。就活中です」と笑いながら「いろいろと何個か(オファーが)あるけど契約までは至っていない。もうちょっとの辛抱かな」と、複数球団からオファーがあることを明かした。

 松井秀喜氏(ヤンキースGM特別アドバイザー)も巨人、メジャー10年間ずつで引退した。一時代を築いた巨人の4番とエース。ともにメジャーでワールドシリーズ制覇も経験しており、尊敬する先輩と同じ運命をたどろうとしている。イチロー(マーリンズからFA)の所属先も決まっていないが「メジャーで(イチローを獲得する球団は)あると思う。もう一回対戦したい。とことん悔いなくやってほしい」とエールを送った。日米通じ、日本選手初の「100勝100セーブ100ホールド」まであと10ホールド。「マイナーだったら辞めます」とあくまでメジャー契約にこだわる。

 「もう一年やりたい。そのつもりで練習している。もっとうまくなりたい」。座右の銘は「雑草魂」。踏まれるたびに強くなってきた男はプロ20年目をメジャーで迎え、最後の雄姿を見せる。 (柳原 直之)

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