イチローにとっても“特別” 王会長は気遣いの人「104はいい数字なんだよ」

[ 2017年9月11日 10:30 ]

06年WBC決勝でキューバを下して世界一に輝き、トロフィーを前に笑顔を見せる王監督とイチロー
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 先日、マーリンズのイチローが日米通算5863塁打を記録し、ソフトバンク・王貞治球団会長が現役時代にマークしたプロ野球記録を超えた。紙面で読みながら、そのコメントに思わずうなずいてしまった。

 「おかしなことはできない。王監督と何かを比べてもらえることで、そういう感情が強く生まれる」――。世界一に輝いた06年WBCで侍ジャパンの監督を務めた王会長への思いがあふれ出ていた。

 もう数年前になるが、王貞治会長に話を聞こうと、都内の自宅前で帰宅を待った。最初は一人だったが、次第に複数の記者がやってきた。数時間は待っただろう。車の後部座席から王会長が降りると、「皆さん、長いことも待たせて申し訳なかったね」と第一声からこちらを気遣ってくれた。

 最近は自宅まで押しかけてくることに不快感を示す球界関係者も多い。新聞記者という職種を理解してくれた上で、「少しお酒が入っているので変なことを話したらまずいので、話しは短めにお願いします」と言って、ずいぶんと長い時間対応してくれた。

 報道陣との懇親ゴルフコンペに王会長が参加してくれたこともあった。番記者ではない自分にも、ラウンド後に「君は、スコアはいくつだった?」と声をかけてくれる。「104です」と平凡な数字を答えたら、「104というのはいい数字なんだよ」と褒めてくれた。その数字に何か理由があるのかは分からないが、「世界の王」は誰にでも気遣いをする人だった。

 小学生の頃、学校の図書室で王選手の伝記を読んだ。子どもたちからせがまれたサインを断ることなく書き続けたエピソードがあった。人柄は本に書かれている通りのままだった。(記者コラム・横市 勇)

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2017年9月11日のニュース