大田ド派手東京D凱旋2発!ハム7アーチの口火に

[ 2017年5月13日 05:30 ]

パ・リーグ   日本ハム15―1ロッテ ( 2017年5月12日    東京D )

<日・ロ>5回1死一塁、2ランを放った大田は手をたたきながらダイヤモンドをまわる
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 ホームランは最高!日本ハムの大田泰示外野手(26)が12日のロッテ戦で、自身初の1試合2本塁打をマークした。昨季までプレーした巨人の本拠地・東京ドームで2回に左中間へ2号先制ソロを放ち、5回には右中間へ3号2ラン。トレード加入の大器が点火した打線は、67年ぶりに球団記録に並ぶ7本のアーチをかけ、今季最多の15点を挙げた。

 思わず赤面した。日本ハムの大田として初めて臨んだ東京ドームのお立ち台。「最高でした!」と叫んだ声が裏返った。見守るナインは爆笑。2度目は照れ隠しでわざと裏返らせて「最高です!」と叫んだ。矢野から「もう一回」の指令が飛ぶ。最後は「ファイターズ、最高!」と、矢野の決めゼリフを拝借した。

 涌井から2回に左中間に先制2号ソロ。東急時代の50年に作った球団記録に並ぶチーム7本塁打の口火を切り、5回は自身初の逆方向となる右中間に3号2ランを運んだ。「ブサイクでもいいからヒットが打ちたい」。移籍後初めて巨人時代の本拠地で迎える試合の前に、そう話した。真逆の美しい2発。お立ち台では笑いを誘う前、しみじみと「いろいろな心境はある。ファイターズで本塁打を打てたことがうれしい」と言った。

 08年ドラフト1位で巨人入り。当時の原辰徳監督と同じ東海大相模で65本塁打を放ち、背番号は松井秀喜氏と同じ「55」だった。入団当初は心地よかった周囲の期待は、いつしか重圧に変わる。練習でできる豪快なスイングが試合で実践できず、8年間で9本塁打。2軍戦でファンに「背番号を返上しろ!」とヤジられたこともある。「巨人での8年間は悔しさが大きい。でも人間的に成長できた」と振り返る。

 「何かを変えなければ」。危機感を募らせた男は移籍を機にバットのグリップ部分にメジャーの選手も使う「LIZARD SKINS」というテープを巻くようになった。クッション性のある素材で滑りにくく、グリップ力が増した。左脇腹痛で2軍調整中だった4月中旬にはミズノ社からDeNAの筒香と同型のバットを取り寄せた。従来のものより芯の部分が太く、グリップ部分が細い長距離砲用。扱いは難しいが、テープとの相性がバッチリだった。力むことなく安定したスイング軌道が実現。この日も「tsutsugo 25」の刻印入りのバットで2本のアーチを描いた。

 栗山監督はトレードが決まった際、原氏から「大田を頼む」とメールをもらった。会心の打撃を見届け「(大田の)ドラマ、必死さ、それはチームにとって大事。感動が推進力になる」とうなずいた。「やっぱり近いからいいですね」。慣れ親しんだ球場を出た大田は、愛する妻子が待つ都内の自宅へ向かった。 (山田 忠範)

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2017年5月13日のニュース