中村胸張れ 前橋育英に善戦「夏に向けて良い刺激もらった」

[ 2017年3月21日 05:30 ]

第89回センバツ高校野球第2日   中村1―5前橋育英 ( 2017年3月20日    甲子園 )

<前橋育英・中村>9回二死三塁、岡上(右)の二塁ゴロがイレギュラーを呼び、一矢報いた中村ナインはベンチでガッツポーズ
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 1回戦3試合があり、21世紀枠で選出された中村(高知)は前橋育英(群馬)に1―5で敗れた。大会直前に4人がインフルエンザを発症するアクシデントに見舞われたが、甲子園優勝経験のある強豪校に善戦。準優勝した1977年以来40年ぶりの勝利はならなかったが、部員16人は胸を張って聖地を後にした。

 40年ぶりの甲子園勝利はならなかったが、涙はない。エースの北原は、21世紀枠の選出校として持てる力の全てを出し切った。ただ、唯一、悔いが残るとすれば、味方打線が2死一、三塁を逃した直後の6回のマウンドか。2点差のまま踏ん張りたかったが、前橋育英の強力打線につかまった。

 「自分たちが点を取れなかったので、大事になるのは分かっていた。変化球で打ち取りたかったですが、相手が上回りました」

 1死二、三塁のピンチを招くと、8番・小池に三塁線を破られた。外角カーブが、内角への逆球になったところを見逃してはくれなかった。改めて勝負の厳しさを知った1球。さらに1番・丸山にも適時打を浴び、決定的な3点を失った。

 「全国屈指の打線と戦えて夏に向けて良い刺激をもらうことができました。自分の知らない世界を知ることもでき、良かったです」

 8回を投げて9安打5失点。敗れはしたが、全国レベルを肌で感じ取れたことが夏に向けての最大の収穫だった。速球狙いの打者に対してスプリットを投じると、凡打のヤマを築くことができた。左打者へのツーシームも十分に通用した。7回からはドロップも解禁。夏には使えるメドが立ったことも、今後への自信につながった。横山真哉監督も「持ち味を出して粘り強く最後まで投げきってくれた」と及第点を与えた。

 5点を追う9回には、打線が粘りを見せた。2死三塁から岡上の放った打球は、二塁手の前でイレギュラーバウンドする幸運にも恵まれるタイムリー。岡本も左前打で続き、満員の一塁アルプスを大いに盛り上げた。北原は言う。

 「点を取ったときの声援はすごかった。恩返しにはならないけれど、みなさんに元気を与えることができたと思う」

 再び聖地を踏みしめるには、明徳義塾、高知をはじめとする県内の強豪校に勝たなければならない。この経験を決して無駄にはしない。夢のようなひとときを、夏への力に変えてみせる。

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2017年3月21日のニュース