【甲子園百景・春】今大会で勇退“永田劇場”まだ終わらない

[ 2017年3月21日 08:10 ]

第89回センバツ高校野球第2日   報徳学園21―0多治見 ( 2017年3月20日    甲子園 )

<報徳学園・多治見>1回、先制し笑顔を見せる報徳学園・永田監督(左)
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 今大会で勇退を決めている報徳学園・永田裕治監督(53)がお立ち台で何度も「幸せです」を繰り返した。94年に監督に就任し、春夏合わせて18度目の甲子園。「全員野球」をモットーに専用グラウンドのない環境の中、選手を鍛えに鍛えてきた。「相手は岐阜で優勝したチーム。試合前は負けるんじゃないかと怖かった」と不安もあった。

 しかし岡本主将はじめ全員が「永田先生と一日でも長く試合がしたい」という思いがバットに乗り移り、報徳史上最多の21得点。「昨秋の近畿大会ではMAXが132キロですよ。右の本格派なんやけど、どこがやねん」という西垣がひと冬越え140キロをマーク。7回を2安打に抑えた。

 永田監督にとって甲子園21回目の校歌。「絶対泣かないと決めていた」とベンチ前で選手とともに大声で歌った。「選手がよくやってくれたし感謝です。選手とまた試合ができる。幸せです」。

 指導の合間には進学、就職のお願いで全国を飛び回る。だから1000人近い教え子の結束は固い。「まだ子供と試合できますね?」の声に「泣いてしまうから言わないで」という人情派。丸顔に眼鏡の愛きょうのある顔。初戦を突破して“永田劇場”はまだ終わらない。(落合紳哉特別編集委員)

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2017年3月21日のニュース