黒田集大成マウンドへ 初対決の大谷は「特別な存在」

[ 2016年10月25日 05:35 ]

札幌ドームのマウンドで投球練習をおこなう黒田
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 広島・黒田博樹投手(41)が25日から敵地・札幌ドームに舞台を移して行われる日本シリーズ第3戦に先発する。広島空港からチャーター機で札幌移動した24日は札幌ドームでの投手練習に参加。今シリーズを最後に現役引退を表明する右腕はマウンドから21球を投げて最終調整を行った。日本ハム・大谷翔平投手(22)は「3番・DH」で出場する予定で、日米で活躍したレジェンドと若き二刀流スターが日本最高峰の大舞台で初めて激突する。

 敵地・札幌ドーム。黒田はダッシュ、キャッチボール、遠投など一通りの練習を終えると、マウンドに向かった。捕手を座らせ、マウンドの感触や変化球の曲がりなどを確認しながら21球を投げ込んだ。通常は登板前日に傾斜を使った投球はしない。札幌ドームでの登板は大リーグ移籍前の05年6月14日の日本ハム戦以来11年ぶり。「なかなかイメージが湧かない」と話していただけに、異例の投球練習となった。

 「別に気にならなかった。何だかんだで(札幌ドームに)来ているし、オールスター(01年)でも長嶋ジャパン(03年アテネ五輪予選)でも来ているので」。18日に今季限りでの引退を表明。現役最後のマウンドになる可能性もある41歳右腕は好感触を口にし、見守った畝投手コーチは「フラット(平地)で投げるのが普通だけど、初めてと言えばそうじゃないかな。試合(と同じ)状況で投げてみたかったんじゃないか」と説明した。

 チームは2戦2勝。DeNAとのCSファイナルSでも2戦2勝でバトンが渡されたが、5回3失点で敗戦投手となった。再び敗れるわけにはいかない。札幌ドームは3戦3敗という「鬼門」だが、巨人戦の2敗が含まれており、日本ハム戦は2勝1敗、防御率2・42と相性は悪くない。

 「3番・DH」で出場する二刀流の大谷とは初対決。「日本プロ野球の中でも特別な存在。しっかりとしたピッチングがしたい。楽しみという気持ちはない」と話しており、全身全霊を懸けて抑えにいく。日米通算203勝のプライドを懸けたマウンド。勝てば32年ぶりの日本一に王手をかけることになり、前日にも「毎回毎回、死ぬ気でやっていたので。常に最後のつもりでマウンドに上がってきた。自分の気持ちは変わらない」と熱い思いを口にしていた。

 広島と札幌の「史上最長距離シリーズ」(直線距離で約1231キロ)で約1000万円をかけ、チャーター機で移動。広島空港では「日本一を目指して頑張ってください」とアナウンスが流れ、札幌へ送り出された。到着した新千歳空港では約200人のファンから大きな声援を受けた黒田は「常にファンに喜んでもらえるように、頑張るだけです」と表情を引き締めた。支えてくれた仲間とファンに届ける最後の雄姿。プロ20年目の秋、41歳は集大成のマウンドに自らの生きざまを刻む。(桜井 克也)

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2016年10月25日のニュース