黒田VS大谷は千代の富士VS貴花田の名勝負再現だ

[ 2016年10月25日 05:43 ]

広島から札幌へ移動する大谷
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 広島から新千歳空港に到着すると、ひときわ大きな声援を浴びた。出迎えたファンは知っている。日本ハム・大谷が25日の第3戦で「3番・DH」で出場する。相手は今シリーズ限りで現役引退する黒田だ。大谷は「勝負自体は楽しみ。その中で結果を残せれば良い」とついに訪れる初対決を待ちわびた。

 もう負けられない。「8番・投手」で出場した第1戦は敗戦投手。第2戦は4点ビハインドの9回1死一、二塁で代打も空振り三振に倒れた。まさかの2連敗スタートだが、この窮地で実現する日米通算203勝右腕との対決に、大谷は「出る打者は出て、決める打者は決める。みんなが仕事をすれば必ず勝てる」と前を向いている。

 黒田との真剣勝負は、今後の野球人生で大きな財産となる。栗山監督は言った。「スポーツ界では千代の富士から貴乃花にバトンタッチしたようなこともある。生きざまを含めて尊敬する野球人と大舞台で対戦できることが若い選手には大きい」。7月に死去した千代の富士(九重親方)は大相撲で優勝31回を飾り「小さな大横綱」として一時代を築いた。90年代初頭に「若貴ブーム」の主役だった貴花田(のち横綱貴乃花)に敗れたことが土俵を去るきっかけになったことは有名だ。

 黒田が国内復帰してから打席にも立ったことはなく、投げ合ったこともない。唯一の接点だった15年球宴ではタイミングが合わず、あいさつもできなかった。それでも大リーグ志向の強い大谷にとってメジャー通算79勝を誇る黒田は最高の教材。黒田の著書「クオリティーピッチング」を愛読し、男気あふれる野球人生を尊敬する。

 指揮官が「野球に純粋に向き合うべき時にクロ(黒田)と対戦することで良い方向にいくかもしれない」と言えば、大谷は「全員で黒田さんを打ち崩せるようにしたい。打つ、打たない関係なく仕事をきっちりしたい。そのためにしっかり準備したい」と力を込めた。黒田を打ち崩せば、何かが起こるはず。そう信じて大谷は打席に立つ。(柳原 直之)

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2016年10月25日のニュース