大先輩から虎ドラ7長坂に珍指令「矢野2世になるな」

[ 2016年10月25日 05:42 ]

佐野統括スカウト(左)葛西スカウト(右)と笑顔で握手する長坂
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 阪神からドラフト7位指名を受けた東北福祉大の長坂拳弥捕手(22)は24日、同大の先輩でもある矢野燿大作戦兼バッテリーコーチ(47)から「矢野2世になるな」と珍指令を受けた。この日、宮城県仙台市内の野球部寮で、佐野仙好統括スカウトらから指名あいさつを受け、理想の捕手像に大先輩を挙げたが、いきなり「読み」が外れる!?結果となった。

 いきなり「プロの洗礼」を浴びた。20日のドラフト会議から4日。指名あいさつも終わり、長坂にも実感が沸いてきていた。理想の捕手像を問われると、迷わず、大きな声で、東北福祉大の大先輩でもある矢野作戦兼バッテリーコーチの名前を口にした。

 「矢野さんです! 投手から信頼を得て、好かれて、首脳陣からも信頼を得られるような捕手になりたいです!」

 阪神の正捕手として2003、05年と2度のリーグ優勝に貢献。豊富な経験と知識を、現在は指導者として若虎に伝えている。まさに憧れの存在と言っていい。回答自体は満点だったはずなのだが…。甲子園での秋季練習を終えた矢野コーチの考えは、真逆だった。

 「(矢野2世を目指すと聞かされ)2世になる必要はないよ。自分の色を出せばいい。(長坂)1世でいい」

 憧れるのはいいが、人と同じことをしようとしては、プロの世界で勝ち抜くことはできない―。そんなメッセージが込められているかのような言葉。「守りが特徴と聞いているけど、見てみないと分からない。後輩やけど、えこひいきすることはない。良いものを見せてくれたら使うし」と斬り捨てた。良ければ使うしダメなら使わない。当然の話だが、プロの厳しさを熟知する直属の先輩として、勝負の世界がどういうものなのかを、たたき込む構えだ。

 もちろん、長坂も覚悟はできている。7位指名だが「(プロに)入ったら、7位だろうが何だろうが関係ない」と言い切った。同大野球部出身の捕手は矢野コーチを筆頭に広島・石原ら計6人がプロ入りしている。プロ入りを見据えて進学した長坂も「試合に負けたりすると、厳しく(指導)された。そういう中で、皆さん、鍛えられていたのだなと思います」と、同大の良さを振り返る。

 大先輩らと同じ道を歩んできた自信を礎に、下克上は望むところだ。幸いと言っていいのかは分からないが、阪神には現状、正捕手が不在で、それぞれが決め手を欠く。金言を胸に「長坂1世」として勝負する。(巻木 周平)

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2016年10月25日のニュース