巨人 坂本で逆王手!2戦連発打率.714「勝って広島にやり返す」

[ 2016年10月10日 05:33 ]

セ・リーグCSファーストS第2戦 ( 2016年10月9日    東京D )

<巨・D>3回2死、同点ソロを放つ坂本
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 さすが主将、さすが首位打者だ。セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)は9日、ファーストステージ(3試合制)第2戦が行われ、2位の巨人が3位のDeNAに2―1で競り勝ち、1勝1敗とした。坂本勇人内野手(27)が1点を追う3回に2戦連発となる同点ソロ。8回にも先頭で二塁打を放ち、長野久義外野手(31)の勝ち越し打を演出した。10日の第3戦で巨人は勝つか引き分け、DeNAは勝てばファイナルステージに進む。

 勝負強さには理由がある。迷いなく決断できる勇気だ。坂本が真骨頂を見せたのは0―1の3回。3球で追い込まれると、指2本分もバットを短く持った。今永の速球に差し込まれず、変化球にもコンパクトなスイングで対応するためだった。

 「(短期決戦は)何が正解かよく分からないけど一球一球状況を考えて」。ボール2球を挟み、ファウル2球で粘る。フルカウントからの8球目。内角低めのカーブに体勢を崩されかけたが、下半身でこらえて振り抜く。左翼席への2試合連続の同点ソロ。「しっかり(軸足に体重を)残してうまく拾うことができた」。前日に球団単独トップに立ったCS通算本塁打数を6本に伸ばした。

 高橋新体制の開幕前だった。主将2年目を迎えた坂本は、高橋監督から長野、菅野とともに都内の鉄板焼き店に誘われた。昨オフの監督就任会見でキーマンに挙げたのが5人。そのうち2軍で調整中だった阿部、内海を除く3人が呼ばれ、プライベート、野球の話など会話は弾んだ。そんな会食の終盤、指揮官からある言葉を掛けられた。

 「長いシーズン、いろんな困難が待ち受けている。それでも中心選手なんだから、何があっても下だけは向くな」

 一流から超一流への成長を期待された言葉に力強くうなずいた。シーズン中は打撃ケージ裏から見守られた。ロッカールームや遠征先の食事会場でも頻繁に声を掛けられた。打率は昨季の・269から・344。2人の固い絆が初の首位打者へと押し上げ、本塁打も12本から23本に倍増した。

 同点の8回には先頭で右中間二塁打。長野の中前打で決勝のホームを踏んだ。短期決戦で打線の先導役として、レギュラーシーズン中の3番から1番に変わった。「体と頭がちょうどいいくらいにできている」。2発を含む7打数5安打。チームの全5得点のうち、4得点を挙げている。6回には中前に抜けそうな打球に追いつき、体を一回転させてワンバウンド送球でアウトにする好守も見せた。開幕前、坂本を「軸の候補」と表現していた高橋監督は「今シーズンずっと坂本を軸に戦ってきた。この2日間も全てにおいて大きな存在」と初めて軸と認めた。

 初戦は筒香の一発で負けた。坂本は試合前の練習後、ベンチで敵の4番の打撃練習を食い入るように見つめた。その筒香の頭上を越える一発などで、今度は逆王手をかけた。「負けたら終わり。勝って広島にやり返すチャンスと思っていく」。土俵際でチームを救った主将の言葉は熱を帯びていた。(神田 佑)

 ≪通算6本塁打は5位タイ≫先発1番に座る坂本(巨)が2試合連続本塁打を含む2安打。この2試合で7打数5安打、2四球、打率・714、出塁率・778と手がつけられない状態だ。今永(D)とはレギュラーシーズンで9打数4安打(・444)と攻略しており、短期決戦でも相性の良さを発揮した。これでCSの本塁打は6本目。プレーオフ、CSの通算本塁打ランクで井口(ダ、ロ)、里崎(ロ)に並ぶ5位タイに進出した。この日は同点弾だったが、6本中同点3本、逆転1本と肩書付きの本塁打が4本と価値ある一発が多い。

 ≪突破率は17%≫巨人が1勝1敗のタイに戻した。3試合制のプレーオフ、CSで1勝1敗となったのは13度目。過去、12度のうち追いついたチームが第3戦も勝ったのは、06年ソフトバンクと09年中日の2度だけで突破率は17%。11年から追いついたチームは7連敗中だが、巨人はどうか。

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