広島 黒田で大団円だ!41歳、優勝決定試合勝利投手なら史上最年長

[ 2016年9月10日 05:30 ]

東京へ移動する前、マツダスタジアムで調整した黒田はテレビカメラに囲まれてグラウンド入り

 優勝へのマジックナンバーを「1」としている広島は10日、東京ドームで行われる2位・巨人との対戦に勝つか引き分けるかで、25年ぶり7度目の優勝が決まる。9日は試合がなく、巨人がヤクルトに勝ったため、V決定は直接対決に持ち越された。予告先発は黒田博樹投手。41歳が優勝決定試合の勝利投手となれば史上最年長記録だ。

 運命なのか。黒田にアンカーのバトンが回ってきた。8月24日に点灯したマジックは、月曜日以外では初めて停滞。「1」のまま、チケット完売の敵地で1、2位直接対決を迎える。41歳右腕にとっては、新人だった97年にプロ初登板を完投勝利で飾った時の相手、同じ球場での大一番だ。

 「目の前の試合を当然、勝つしかない。何をどう考えても、ウチの方が完璧に有利。変わらんし、変えることもない」

 この日はマツダスタジアムで他の先発投手陣とともに調整。気持ちに変化はない。1試合に、1球に全力で魂を刻む。野球人生で貫いてきた哲学を表現するだけだ。

 マジック4で迎えた6日からの中日3連戦で3連勝したが、巨人も同様に勝ち続け、地元広島でゴールテープを切るには至らなかった。試合がなかったこの日、ナインは各自で東京に移動。宿舎のホテルで午後7時すぎに宴会場に集結し、150インチの巨大スクリーンでヤクルト―巨人戦を見守った。巨人の大量リードを受け、午後8時前にいったん解散となったが、試合終了前に再集結。Vが持ち越され、瞬時に気持ちを切り替えた。

 「明日や。明日。明日いくぞ」。会場最前列で観戦した緒方監督が、後方を振り向いて呼びかける。ナインは力強く「よっしゃあ」と呼応した。指揮官は昼に広島を出発する時から「今日だったら、しらけるな…」と漏らし、グラウンドで決めたいかの問いに「そら、そうやろ。当たり前」と語気を強めていた。歴史的一年の集大成は、自力で――。チーム全員の思いは共通していた。

 周囲の期待を、黒田は身をもって感じてきた。広島の街の雰囲気について「最近はユニホームを着ている人も多い。うれしく思う。前にいた時とは街の雰囲気が全然違う」と話した。広島だけではない。今や敵地でもスタンドの左半分は確実に赤に染まる。広島はもちろん、全国のファンと喜びを分かち合う時は、もうすぐそこだ。 (桜井 克也)

 ≪40代初の栄誉なるか≫広島のマジックは対象チームの2位巨人が勝ったため1のまま。10日の巨人戦に勝てば91年以来25年ぶり7度目の優勝が決まる。胴上げが懸かる一戦の予告先発は41歳の黒田。過去の優勝決定試合の勝利投手を見ると、最年長は83年高橋直樹(西)の38歳。黒田が勝てば史上最高齢で、40代初の栄誉となるがどうか。

 ≪9月9日ドキュメント≫

 ▼10:55 黒田、野村ら投手陣がマツダスタジアムで練習。

 ▼12:13 新井が広島駅から新幹線で東京へ出発。

 ▼12:32 黒田がマツダスタジアムを出発。

 ▼14:13 緒方監督が広島駅から新幹線で東京へ出発。

 ▼14:50 球団が都内宿舎で報道陣に向け、優勝決定時の会見などの段取りを説明。

 ▼16:55 黒田が宿舎に到着。

 ▼17:35 新井が宿舎に到着。

 ▼18:00 ヤクルト―巨人戦が始まり、長野が先頭打者弾。

 ▼18:07 巨人は村田の3ランで初回から4―0とリード。

 ▼18:13 丸が宿舎に到着。報道陣から巨人優勢を伝えられ「巨人が勝ってるの?ヨシッ!」。

 ▼18:16 緒方監督宿舎入り。

 ▼18:19 野村が宿舎に到着し「きょうは厳しそうですね…」。

 ▼18:37 胴上げ投手候補に挙がる、抑えの中崎も到着し「明日(10日)勝って決められたら」。

 ▼19:16 巨人は4回、亀井ソロでさらに1点追加。

 ▼19:25 ジャクソンが“大トリ”で宿舎に到着。「明日はいつも通り、中崎につなげたい」。

 ▼19:30 安部を先頭に選手らが宿舎内の観戦会場へ。

 ▼19:43 緒方監督が会場へ。

 ▼19:46 巨人は大竹寛が5回まで3安打無失点と好投。

 ▼19:55 ミーティングを終え、一時解散。

 ▼21:08 巨人が5―2でヤクルトに勝ち、優勝持ち越し。観戦会場に戻っていたナインが気合を入れ直して解散。

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