イチ3本固め打ちで4256安打王手!全盛期と変わらぬ輝き

[ 2016年6月15日 05:30 ]

<パドレス・マーリンズ>8回1死一塁、イチローの第6打席は左前安打

ナ・リーグ  マーリンズ13―4パドレス

(6月13日 サンディエゴ)
 マーリンズ・イチロー外野手(42)が13日(日本時間14日)、パドレス戦で3安打し、ピート・ローズが持つメジャー記録の4256安打に日米通算(日本1278本、メジャー2977本)であと1本と迫った。7点が入った3回は、自身10年ぶりとなる1イニング2安打をマーク。ローズの記録へ残り10安打のカウントダウン開始から、6試合19打席で9安打の固め打ちとなり、前人未到の頂へさらに加速した。

 イチローのバットが止まらない。同点の3回、先頭で右腕レイの92マイル(約148キロ)直球を捉えて左前打。次打者プラードの勝ち越し2ランを呼ぶと、怒とうの攻撃で一挙7得点のビッグイニングになった。その締めとして、打者一巡で迎えた2死三塁では遊撃適時内野安打を放った。

 マリナーズ時代の06年4月29日のオリオールズ戦以来、10年ぶり4度目となる1イニング2安打。8回にも左腕ソーントンの93マイル(約150キロ)を左前へ運んだ。1試合3安打以上は今季4度目。日米通算4255安打とし、ローズのメジャー記録に一気に王手だ。

 「チャーリー・ハッスル」の異名で知られたローズばりに、随所に「イチロー・ハッスル」な全力プレーが光った。初回は四球を選び、2死二塁からの左前打で先制の生還。スピードを緩めず、膨らまない教科書通りのベースランニングで、最後は回り込み滑りながら左手でホームに触れた。「それしかできないもん、僕。どうやって(スピードを)緩めるのか分からない。(スライディングは)キャッチャーの動きを見ながら、ですね」。三塁ベースコーチが指示を忘れるボーンヘッドにも「僕、見てないです」と涼しい顔。1試合3得点は、ヤンキース時代の13年5月10日のロイヤルズ戦以来3年ぶりだ。

 右翼守備でも5回1死二塁で右中間のほぼ真ん中を襲った飛球を好捕した。ダッシュしながらいったん打球から目を切り、中堅手オズナの動きを確認。「しないと怖いです。動きで来ないのは見えた。早い段階で諦めてくれれば。中途半端に来ないでほしいですね」。無駄な接触を避けケガをしない危機管理の上での好捕は、ここまで安打の山を築いてこられた礎だ。

 試合前にはパドレスにコーチ留学中のオリックス時代の先輩・中嶋聡氏に声を掛けられた。16年ぶりの再会に「あれ、一番びっくりしました。最初分からなかった。(元パ軍の)大塚さんかなと」。偉業達成が迫り、「イチローなら今の状況を驚かない」とした中嶋氏の談話を伝え聞くと「それは普通のコメントですね」と高笑いした。この日は自らの安打数や打撃には言及しなかったが、その瞬間へ周囲がヒートアップする様子を楽しんでいるようでもあった。

 「イチローは攻撃の点火装置。毎日見ていて楽しい」と語ったドン・マッティングリー監督。14日(日本時間15日)の起用については当日発表するとした。頂は目と鼻の先。そのさらに向こう、誰も見たことのない世界へ孤高の旅が始まる。

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2016年6月15日のニュース