メジャー経験者史上初 オリ田口2軍監督に聞く「アイデアはいっぱい」

[ 2016年1月3日 10:30 ]

オリックスの田口2軍監督

 阪神・金本監督や巨人・高橋監督など5人の新監督が誕生した1軍に対し、今季の2軍では倍となる10人が新任監督という大変革の年を迎えた。オリックスでは95、96年のリーグ連覇を支えた田口壮2軍監督(46)が就任。カージナルスなどメジャー3球団を経験した若き指導者は、どんな未来を目指すのか。その思いに迫った。

 田口2軍監督は指導者としての姿を想像し、端正な顔立ちをグッと引き締めた。描く監督像は?問いに対する答えは「ない」だった。個人ではなく組織としての機能性を大切に思った。

 「2軍ですから、いかに育成のシステムを構築できるかなので。全く監督像とかはないです。1軍の福良監督とも球団全員で考えて、ファームのシステムを構築する。僕は、その中の1人だと思っています」

 メジャー経験者の2軍監督就任は日本プロ野球界では史上初めてだ。日米で20年間プレーした経験やメジャー流の育成システムをどう注入していくのか。そんな注目点にも首を振った。

 「皆さん、そう言うが、全くシステム、環境が違うので、丸々入れられるものではない。本当に全て検証から。いろいろ実行してみて検証するの繰り返しになる」

 日米の最大の違いはドラフト入団選手の数だという。「アメリカは1チームで60~70人獲る。日本は全チームでそれぐらい。アメリカはそこから1人、2人出てくるかの世界ですから。ということは、日本の各球団は必然的に育てないといけない」。失敗のない、少なくとも確率の高い選手育成が日本のプロ野球界には不可欠で、そのためのシステム構築の必要性を感じていた。「アイデアはいっぱいあります」。就任1年目から果敢なプランニングと検証を繰り返すつもりだ。

 福良監督とタッグを組むのも運命かもしれない。入団1年目、先輩やコーチから怒鳴られて萎縮する中、夜な夜な居酒屋に連れ出し、話を聞かせてくれた先輩だ。「野球を一から教えて頂いた」。思い描く指導の原点かもしれない。

 「野球選手はすごい。毎日、同じ作業を繰り返さないといけないけど、それができる人間だけが脚光を浴びる。それを少しでもサボると1軍にいけない」。来年17年から2軍施設は神戸から大阪市舞洲へ移転。田口流と合わせてオリックスの新時代が到来しそうだ。 (鶴崎 唯史)

 ≪メジャー経験者の監督は初≫メジャーリーグ出場経験のある日本人選手のNPB球団監督就任は1、2軍含めて田口監督が初めて。独立リーグではBCリーグの高津臣吾(12年・新潟)、大塚晶則(14年・信濃)らの例がある。なおコーチには前出の高津、大塚はじめ数多くが就任しており、今季も高橋建が新任で阪神2軍投手コーチに就く。

 ◆田口 壮(たぐち・そう)1969年(昭44)7月2日生まれ、兵庫県出身の46歳。西宮北―関学大を経て91年ドラフト1位でオリックス入団。強肩好守の外野手として95年リーグ優勝、96年日本一に貢献。01年オフにFAでメジャーへ移籍し、06年カージナルス、08年フィリーズでワールドシリーズ優勝。カブスを経て、10年にオリックス復帰。11年オフに退団し、12年に引退表明。日米通算成績は1894試合で1601安打。右投げ右打ち。

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