アスリートの凄さをあらためて実感した「ココクレーター」同行取材

[ 2016年1月3日 09:05 ]

ココヘッドの頂上でポーズを決めるヤクルト・田中浩

 昨年12月、ヤクルトは14年ぶりのリーグ優勝を祝して米ハワイへ優勝旅行に訪れた。旅行中とはいえ、来季への準備期間。4日目の朝、田中浩がココヘッド公園の「ココクレーター」を登るトレーニングをするというので同行取材した。

 午前8時、駐車場に到着。ココクレーターを見上げて嫌な予感がした。「高い…」。標高370メートルの小高い山は、麓から頂上まで階段が一直線に伸びている。頂上付近は一段と傾斜が急になる。メジャーなダイヤモンドヘッドと違って日本人の姿はあまりなく、観光客もまばら。トレーニング目的とみられるローカルの人たちばかりだった。「じゃあ行きますか」という田中浩の言葉とともにスタートした。

 階段は、実は線路の枕木。60年ほど前、軍の通信基地が頂上にあり、物資の運搬手段として使われていたトロッコのレールだそうで、1048段あると言われている。米国人の歩幅に合っているのか、一段上がるのにも一苦労。最初は比較的平たんながら、すぐに息が上がった。スイスイと上がっていく田中浩の背中はどんどん遠のいた。

 ダッシュで駆け上がる強者や、軽快に進む犬にも抜かされながら、最後の急斜面の階段を登りきった。そして赤土の坂道を上って展望台へ。ボロボロの体を癒す、美しい景色が広がっていた。ダイヤモンドヘッド、ハナウマ湾、マカプウ岬までの絶景。下山中には虹も架かり、最高の景色を望むことができた。しかし膝はガクガク、太腿は張り、ふくらはぎはつりそうで「もう登らない」と心に誓った。下山後、田中浩は何事もなかったかのように朝食のアサイーボウルを口にしていた。翌日、失礼ながら念のため聞いてみた。「筋肉痛とかなっていないですか?」。すると「なっているわけないでしょう」と笑い飛ばされた。

 アスリートは凄い。そんなことは分かっているつもりだったが、あらためて驚かされた。12、1月は「オフ」と呼ばれるが、次のシーズンに向けての下地をつくる時期。さまざまな形でレベルアップを図っている。今年もキャンプインまで1カ月を切った。選手たちの「自主トレ」にも注目だ。(記者コラム・町田 利衣)

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2016年1月3日のニュース