ソフトBドラ1純平 いつか全基準クリアで沢村賞を 過去8人のみ

[ 2016年1月3日 13:20 ]

「日本のエースに」と「沢村賞」という2つの目標を掲げたソフトバンクのドラフト1位・高橋

 新春の誓いは完全なる沢村賞だ。今年も新たに115人(育成選手を含む)の新人選手がプロの門を叩く。注目されるルーキーを3回にわたって連載する第1回は、ソフトバンクのドラフト1位・高橋純平投手(18=県岐阜商)。最速152キロを誇る高校No・1右腕は将来の目標「日本のエース」に加え、先発投手最高の栄誉といわれる沢村賞受賞を掲げた。11年の楽天・田中将大(現ヤンキース)以来、達成されていない7項目ある選考基準を全てクリアするつもりだ。

 沢村賞。聞いたことはあった。ただ、その中身は知らなかった。高橋は高校野球に全てを注いできた。昨秋ドラフト最大の目玉といわれ、3球団の競合の末にソフトバンク入り。プロ野球界では沢村賞が先発投手最高の栄誉と知り、そのタイトルに興味が湧いた。

 「(獲りたいのは)沢村賞です。その年の最高の投手。先発としては将来的には達成したい」。ここまではルーキーの投手ならば、誰もが描く青写真。ただ、高橋には「その先」があった。

 「(選考基準は)クリアしたいですね」。(1)25試合以上(2)10完投以上(3)15勝以上(4)勝率6割以上(5)200投球回以上(6)150奪三振以上(7)防御率2・50以下。選考基準が定められた82年以降に7項目の基準を全てクリアしたのは82年の北別府(広島)から8人。最近では11年の田中がいる。それだけ「狭き門」なのである。投手にとって究極の目標。それを口にするのは「日本代表の18番を背負い、日本のエースになりたい」という強い思いがあるからだ。

 高校時代は、プロ野球そのものをほぼ見たことがなかった。「部活動をやっていましたし、テレビ中継している時間に自宅に帰り着くことはなかった。(練習に)没頭していました」。そんな18歳は昨年11月に国際大会「プレミア12」で背番号18を背負い、快投する侍ジャパンのエース・前田健に魅了された。同じ右腕。速球とスライダーを武器にする投球スタイルも似ている。「ああ、なりたい」。心の底からそう思った。

 昨年7月上旬に左太腿裏の肉離れを起こし、夏の岐阜県大会では準々決勝で中継ぎ登板しただけ。チームは準決勝で敗れ、センバツに続く甲子園出場を逃した。だからこそ計画性を持っている。「1年目はケガをせず乗り越えること。どのくらい自由に体を動かせるかだと思います」。現在、理学療法士である両親に相談し、時間の許す限り整体院に通って故障予防策を練る。昨季、球団初の日本一連覇を成し遂げたソフトバンクの先発投手陣は層が厚く、新人王にもこだわっていない。

 「3年目くらいに10勝し、その次は15勝。40歳を超えても、野球できるようにしたい」

 座右の銘は「一球一生 一打一生」。県岐阜商の恩師・藤田明宏前監督(47=現朝日大監督)の言葉だ。一球で人生が変わることもある。その瞬間、いかに向き合えるか。「そこへ近づけるようやっていきたいですね」。最速152キロを誇り、類いまれなる才能を持つ18歳は、地道にその羽を広げる瞬間を待ち続ける。 (福浦 健太郎)

 ◆高橋 純平(たかはし・じゅんぺい)1997年(平9)5月8日、岐阜県生まれの18歳。小2で野球を始め、中学では揖斐パワーボーイズに所属。県岐阜商では1年春からベンチ入りし、同年の秋からエース。3年時には主将を務め、春のセンバツでは8強入りに貢献。昨年8月のU―18W杯日本代表に選出され、中継ぎで3試合に登板して計4回を無失点。球種はカーブ、スライダー、カットボール、スプリット。1メートル83、81キロ。右投げ右打ち。

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2016年1月3日のニュース